<北朝鮮を14日から訪問していた飯島勲内閣官房参与は18日午後、経由地の北京から羽田空港着の民間航空機で帰国した。
この後、東京都内のホテルで菅義偉官房長官と会い、北朝鮮要人との会談内容を報告。拉致問題解決を目指す安倍晋三首相の強い決意を伝えた上で、「懸案の解決がない限り日本政府は動かない」として、北朝鮮側に決断を求めたことを説明した。菅長官は同日夜、首相に飯島氏の報告内容を電話で伝える。
飯島氏は平壌滞在中、北朝鮮ナンバー2の金永南最高人民会議常任委員長や朝鮮労働党の金永日書記(国際部長)らと会談。この中で飯島氏は「日本の首相は自分の手で拉致問題を解決したいとの思いが強い」と説明し、拉致被害者の即時帰国、真相究明、実行犯の引き渡しを要求した。核問題の包括的解決を明記した日朝平壌宣言の履行も求めた。
飯島氏は菅長官に「本音の話ができた」と述べた。北朝鮮側がどのような反応を示したかは、現時点で明らかになっていない。ただ、飯島氏は帰国に先立ち、北京空港で記者団に「それなりの判断材料として、これから精査して考えたい」とも語っており、北朝鮮側から何らかの提案があった可能性もある。
首相は18日午後、視察先の大分県別府市で記者団に「私は菅長官から報告を受けて、必要があれば飯島参与から直接話を聞く」と述べた。その上で「拉致問題は安倍政権のうちに解決しなければならない問題だ。全ての被害者の家族がお子さんたちをしっかり抱きしめることができる日が来るまで、私の使命は終わらない」と強調した。
政府高官は、飯島氏の訪朝について「今まで動かなかったものが前に進んだことは良かった」と評価した。首相らは会談内容を詳細に分析した上で、今後の対応を協議する。飯島氏訪朝が日朝政府間の公式協議再開につながるかが当面の焦点だ。(時事)>
杜父魚文庫
12708 飯島氏「拉致解決なければ動かず」と首相の決意伝達 古澤襄

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