12745 在米の中国民主化運動が活発化  宮崎正弘

鮑形らが「天安門民主大学」を復活、いずれ「孔子学院」を凌ぐ。毛沢東党も、国内左派の新党だが、当局は手を出せない。
鮑形といえば趙紫陽の右腕だった。米国に事実上亡命し、自由をもとめる言論活動を展開しているが、さきごろサンフランシスコに有識者、著名人をあつめて「天安門民主大学」の復興を宣言し、さらにこういった。「中国が世界で展開中の『孔子学院』をいずれ追い抜く」。
自由、法治、人権、民主をもとめる中国知識人の久しぶりの快挙だ。
ともかくこの動きは中国共産党への真っ向からの対抗である。その米国西海岸にはちかく習近平がオバマと会談するために訪問する。在米民主グループはいかなる動きを示すだろうか? 西海岸は荒れるに違いない。
1989年春、天安門広場を埋めた百万の市民と学生は24時間の座り込みをつづけたが、あちこちに即席の「天安門民主大学」(即席の講座)が生まれ、大學教授等もかけつけて「民主」「議会」「法治」などをテーマに講義を行った。
天安門広場前を世界中からやってきたジャーナリストが自由に取材していた。
北京大学図書館前の芝生では、方励之博士の講座が行われた。民主化への熱狂が当時の中国の若者を捉えていた。
他方、中国国内では新興宗教のカルト「法輪功」の勢いがやや納まったかと思えば、河南省から青海省にかけて「全能神」が登場した。
この新興カルトの潜在信者は数百万と言われる。国内で数百の活動家が拘束されたが、いまや米国、そして日本でも浸透しはじめており、池袋北口のチャイナタウンには毎日、辻説法のメンバーが目立つようになった。
中国国内にあって、当局が手出しができない新興宗教的セクトは「毛沢東党」である。なにしろ毛沢東の語録を読み、革命歌をうたうために集まる集団ゆえに、新興宗教的存在で党への脅威である。河南省のいくつかの村には毛沢東礼拝堂が建立された。
このセクトは2012年九月の反日暴動で、毛沢東の肖像を掲げて登場した。
共産党にとって毛沢東を創設者とするでっち上げ神話を奉じている以上、政治的にいずれ脅威の存在となることは分かっていても、このセクトへの手入れは難しい。「毛沢東党」は、ひょっとして現代版義和団の乱を惹起するかも知れない。
杜父魚文庫

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