12793 独財務相、党内からの保守層遠ざけ批判で首相を擁護  古澤襄

日本の七月参院選の二ヶ月後、九月にドイツの総選挙が行われる。メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)が勝利するか微妙な情勢となった。
一つにはCDUの党内からメルケルが党を中道寄りに導いているとの批判が出ていることだ。さらにはメルケルが推進しているEU重視政策に対して「ユーロ解体」を唱える「ドイツのための選択肢」党が勢力を拡大していることが挙げられる。
この新党が他の政策課題にも主張を広げ、右派支持層などを取り込めば、「現連立政権は倒れるかもしれない」という見方が浮上している。
ショイブレ財務相は、メルケル首相は保守派の有権者を遠ざけていないと、わざわざメルケル擁護論を表明する騒ぎとなった。
<(ベルリン 26日 ロイター)ドイツのショイブレ財務相は、メルケル首相は保守派の有権者を遠ざけておらず、9月総選挙での与党キリスト教民主同盟(CDU)の勝利に向け着実に足元を固めているとの認識を示した。首相が党を中道寄りに導いているとの党内批判に反論した。
シュピーゲル誌とのインタビューで述べた。党内の右派勢力に対し、総選挙での勝利を望むなら首相の批判を止めるべきと警告した。
また財務相は、社会民主党(SPD)との「大連立」の可能性を初めて否定した。アナリストの多くは、CDUが総選挙後にSPDと大連立を組むと予想している。緑の党との連立も否定した。
メルケル首相は、2009年以降のCDUによる徴兵制や原発の廃止、大学授業料の無償化などを背景に、保守のルーツから離れつつあるとの批判を党内右派から受けている。
これに対しショイブレ氏は「われわれは誰も遠ざけていない。CDUはこれまでになく良い状況にある。支持率のことだけを話しているのではない」とメルケル首相を擁護。
さらに、フランスや英国での保守政党の弱体化や党内対立を指摘した上で「首相は素晴らしい仕事をしている。この20年で社会は大きく変わっており、われわれはそれを受け入れなければならない」と述べた。(ロイター)>
<【ベルリン=宮下日出男】9月に総選挙を控えるドイツで、「ユーロ解体」を掲げる新政党が現れた。欧州最大の経済国として債務危機対応を支えてきたドイツでは、他のユーロ圏諸国救済の負担を背負わされることへの不満が強い。「反ユーロ」政党がどこまで支持を伸ばすかは未知数だが、選挙結果に影響する可能性も否定できない。
新政党は「ドイツのための選択肢」。党名には危機対策などで「他に選択肢はない」と主張してきたメルケル首相への反発が込められ、「ユーロ解体」や「旧ドイツ・マルクの再導入」などを目指している。
経済学者やジャーナリストらが設立し、4月に設立党大会を開催。党員はすでに2千人超としている。共同創設者の一人は「ユーロ救済策で救われるのは銀行や賭博師。雇用や保育所ではない」と主張している。

新党が選挙に参加するには各州で賛同者2千人の署名が必要。議席獲得にも5%以上の得票などが条件となる。ただ、連立与党の中道右派陣営と主要2野党の中道左派陣営の支持率は伯仲しており、新党の得票率が低くても、選挙結果に影響する可能性がある。
イタリアでは2月の総選挙でユーロに懐疑的な新党が第3勢力に台頭。最近の世論調査では、ドイツ国民の3割超が「マルク復活」を望む。政治学者のアレクサンダー・ホイスラー氏は新党が他の政策課題にも主張を広げ、右派支持層などを取り込めば、「現連立政権は倒れるかもしれない」としている。(産経)>
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