12805 ヘレン・ミアーズの『アメリカの鏡・日本』   古澤襄

MOMO氏がコメントで、米ウィスコンシン大学のメアリー・ルイーズ・ロバーツ氏の研究書「「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France(兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵)」について、<<GHQ下の日本であったなら間違いなく発禁。ヘレンミアーズさんの「鏡の国日本」でさへそうだったのですから>>と指摘している。
アメリカ人女性学者ヘレン・ミアーズ(Helen Mears)の『アメリカの鏡・日本』(原題はMirror for Americans: JAPAN)は日本でも翻訳本が出版されているが、MOMO氏が指摘したようにGHQの占領下では出版が認められなかった。米国に帰国した後の、1948年の米本国でようやく出版された。
ヘレン・ミアーズ・・・日本では知る人も少なくなったが、1920年代から日米両国が開戦する直前まで東洋史・地政学を研究した米学者。太平洋戦争中はミシガン大学、ノースウェスタン大学などで日本社会について講義し、日本が敗戦後はGHQの諮問機関「労働政策11人委員会」のメンバーとして来日している。
『アメリカの鏡・日本』の内容は、ウイキペデイアに要約がでている。
<<日本軍による真珠湾攻撃以来、我々アメリカ人は、日本人は近代以前から好戦的民族なのだと信じこまされた。しかし、前近代までの日本の歴史を振り返ると、同時代のどの欧米諸国と比較しても平和主義的な国家であったといえる。
開国後、近代化を成し遂げる過程で日本は、国際社会において欧米先進国の行動に倣い、「西洋の原則」を忠実に守るよう「教育」されてきたのであり、その結果、帝国主義国家に変貌するのは当然の成り行きだった。
以後の好戦的、侵略的とも見える日本の行動は、我々欧米諸国自身の行動、姿が映し出された鏡といえるものであり、東京裁判などで日本の軍事行動を裁けるほど、アメリカを始め連合国は潔白でも公正でもない。
また日本が、大戦中に掲げた大東亜共栄圏構想は「法的擬制」(本書中にしばしば登場する言葉で、「見せかけ」、「建て前」と類義)であるが、アメリカのモンロー主義同様、そのような法的擬制は「西洋の原則」として広く認められていた。
さらに戦前・戦中においては、国際政治問題は「道義的」かどうかではなく「合法的」かどうかが問題とされていたのであり、戦後になって韓国併合や満州事変も含め、道義的責任を追及する事は偽善である。
実際に戦前・戦中の段階で、日本の政策に対して人道的懸念を公式表明した国は皆無であり、自国の「合法性」を主張する言葉でのみ日本を非難し続けるのは不毛である。>>
杜父魚文庫

コメント

  1. MoMo より:

     お取り上げ感謝。『アメリカの鏡・日本』を読み続けた時、涙が溢れてきて本が濡れてしまったことを思い出しました。

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