大阪市の橋下市長のいわゆる従軍慰安婦の問題などの発言を巡り、大阪市議会の自民党など野党3会派は、市議会最終日の30日の夜、橋下市長に対する問責決議案を提出した。
しかし、公明会派が「橋下市長を辞職させるのが目的ではない」として反対したため、結果的に野党3会派が提出した同議案は「否決」された。経過は追々。
もともと、自民党など野党3会派は、「市長としての職責を全うしているとは言い難い状況の中で、自ら政治的責任を自覚した言動をすべきだ」と強く求め、今回の事案を猛省して「市長辞任」すべきだとの決議案にする方針だった。
しかし公明会派は、「辞任」の要求が本来の目的ではなく、「市長としての公人の立場での責任を自覚させることが狙い」だとして、「市長辞任」ではなく、「問責決議」にするべきだと主張し、これに3会派も同意していた。
ところが、事態が急転した。日本維新の会の幹事長で、大阪府の松井知事が、30日の午前「仮に問責決議案が可決されたら橋下市長は辞職し、参議院選挙と同日に出直し市長選挙を行う」と発言し、市議会野党各会派をけん制した。
つまり問責決議そのものには法的拘束力はないものの、国政政党党首に対して議決されれば、市長辞任避けられず、そうなると大阪市政は停滞することになるというのが、松井知事の強気論だった。
これを契機に「問責決議」の是非を巡って、各野党会派の間で緊迫感が走った。
こうした中で、
<公明会派は「問責決議案が可決され、橋下市長が辞職する事態は避けるべきだ」として、問責決議案には同調せず、橋下市長に「政治的責任を自覚した言動を求める」などとする、独自の決議案を提出する方針を決めました。
だが、自民党など3会派は「当初の方針を貫くべきだ」として、橋下市長に対する問責決議案を提出したが、反対多数で否決された。>(NHKニュース)
大阪市議会会派の有力筋によると、いわゆる従軍慰安婦の問題などを巡る発言の追及は、これで一応収まった。しかし「大阪市民に対して謝罪を求められたり、市政を大きく混乱させるような新たな諸言動が出た場合は、改めて問責決議案を提出する」と述べている。
ところで、大阪府の松井知事は、<30日夕方、記者団に対し、「市長として認めてもらい、不信任ではないということなので、出直し市長選挙をする必要はない。公明党が大人の対応をした。公明党が言っているとおり、まさに発言には気をつけなければならないということだ。
市営地下鉄の民営化や大阪都構想などの改革については、これからもしっかり進めていこうということは、再確認させてもらえたと思っている」と述べました。>(NHKニュース)
大阪市政始まって以来の異例の「市長問責決議案の否決」騒ぎは、松井知事をも“介入させて”大きな波紋を広げたたことになる。
ところで、市議会本会議場の傍聴席(定員140名)はほぼ満席で、午後2時予定の本会議開会前から従軍慰安婦の問題などの市長発言を巡る「市長問責決議案」の行方に関心が溢れていた。
しかし、開会時間が何と5時間余も伸びた上、閉会自体も午後9時過ぎになったことに、傍聴者は疲れ果てていた。傍聴者は、市長側と各会派間の折衝舞台裏が分からなないだけに、開会延長事態に困惑していた。そんな中、品性を保つ橋下市政運営を今後期待したいと述懐する傍聴者の声が意外に多く聞こえた。(頂門の一針)
杜父魚文庫
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