12873 “尖閣棚上げ論”はそもそも存在しない  古澤襄

中国の新華社通信が、訪中している野中広務元官房長官が日中国交正常化の際、両国指導者が尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題について“棚上げ論”という共同認識に達したと述べたことを報じている。
自民党政権、民主党政権を通じて尖閣諸島は日本が実行支配している国土だという見解で一致しているから“棚上げ論”はそもそも存在しない。
民主党の玄葉外相は、中国側が日中両政府は「尖閣問題の棚上げ」で合意していたと主張しているのに対し、そういう認識はないと反論している。
玄葉外相:「我々の立場は、合意はないという立場であって、中国側は合意があるという立場、 主張を行っているということ」
尖閣諸島を巡り、中国側は、国交正常化交渉の際の当時の田中総理大臣とのやり取りを根拠に、 双方が「棚上げ」することで合意し、日本の国有化はそれを一方的に破棄したものだと批判している。
これについて、玄葉外相は認識が違うとし、これまでも中国側に説明していると強調した。“棚上げ論”を認めれば、野田政権が行った尖閣国有化を撤回せざるを得なくなる。
安倍政権は菅官房長官が“棚上げ論”そのものの存在を否定している。政界で影響力がほとんどない野中氏の“棚上げ論”だから、日本政府がわざわざ反論する必要もあるまい。
1978年、来日していた鄧小平氏が日本記者クラブで行った記者会見で、尖閣諸島に関し「国交正常化の際、(日中)双方はこれに触れないと約束した」と述べた。
これに対して政府は、自民党の河井克行氏の質問主意書に応えて「約束は存在しない」と否定する答弁書を決定している。それを蒸し返す意味がどれだけあるのだろうか。
杜父魚文庫

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