産経新聞の佐々木類ワシントン特派員が「外信コラム」で、北京での野中発言を評している。自民党の”小沢番記者”や”野中番記者”が肩で風を切って、社内を闊歩していた時代を知っているだけに、時の流れの速くもはかないことを、いまさらのごとく感じている。
かつての”野中番記者”たちは、どういう思いで北京発言を聞いているのだろうか。
<5月15日付の小欄で、靖国神社参拝や尖閣諸島に関し、中国や香港メディアを相手にアニメや写真を駆使して日本の主張を“COOL”に訴える地道な活動を続ける在ワシントン日本大使館の公使の話を紹介した。
「公使は誰?」「詳しい内容を知りたい」といった反響があったが、匿名の約束だったのと、スペースの都合で詳しく紹介できずに残念に思っていた矢先のことだ。訪中した野中広務元官房長官が、中国が再度言い始めた尖閣諸島の「棚上げ」論にくみする発言を行った。
訪問先の北京で要人と会談し「領有権問題を棚上げする日中合意があった」と述べて中国側を喜ばせたのだ。帰国後、記者団に「私はそれを言うために(中国に)行ったのだから発言の撤回などしません」と言い放ち、合点がいった。
同時期、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議に出席した中国軍幹部の棚上げ発言と見事に足並みがそろっていたためだ。
注目度の高い国際会議が開かれていたタイミングで訪中し、要人と会談すればどうなるか。私が自民党を担当していたころ、他紙の野中番記者が言っていた。来日した中国共産党幹部と地元京都・祇園で接待を重ねて党内外に太いパイプを誇示していたと…。北京で歓待されてさぞ心地よかったことだろう。(佐々木類)
杜父魚文庫
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