12919 ゴラン高原で戦闘、オーストリアがPKOから撤退  古澤襄

シリアのゴラン高原にあるイスラエルとの国境検問所で、シリア政府軍と反体制派が争奪戦を展開し、国連のPKO隊員が流れ弾で負傷しました。これを受けて、オーストリアはゴラン高原のPKOから撤退を決めました。
AP通信によりますと、シリアのゴラン高原にあるクネイトラ国境検問所を、一時、シリアの反体制派が占拠、のちに政府軍が奪い返したということです。
クネイトラ検問所は、イスラエルとの国境に位置していて、戦闘はシリア側のみで起きたということですが、ゴラン高原で停戦監視にあたっている国連平和維持活動部隊のフィリピン人とインド人の隊員2人が砲弾の破片などで負傷しました。これを受けて、ゴラン高原PKO隊員の4割を供給してきたオーストリアが、隊員の撤収を決めました。
同じくゴラン高原PKOに参加していた日本の自衛隊は去年12月、情勢の悪化を受けてすでに撤収しています。また、フィリピン人隊員がシリアの反体制派武装グループに拘束される事件も起きていて、シリア内戦の周辺への飛び火はいっそう深刻になっています。(TBS)>
<シリアの内戦の影響で、イスラエルとの境界にあるゴラン高原の治安状況が悪化しているとして、ゴラン高原での国連平和維持活動の中核を担ってきたオーストリア軍が来月までに撤退することになり、今後の平和維持活動に支障が出ることも予想されます。
オーストリアのファイマン首相は、6日、記者会見して、国連平和維持部隊としてゴラン高原で、シリアとイスラエルの停戦監視に当たってきたオーストリア軍の380人全員を来月までに撤退させると発表しました。
シリアの内戦が泥沼化するなか、ゴラン高原では、先月、活動中のフィリピン軍兵士がシリアの反政府武装勢力に一時拘束されるなど国連の部隊が巻き込まれる事件が相次いでいて、6日にもフィリピン軍の兵士ら2人がシリア側からの砲弾の破片でけがをしました。ファイマン首相は「われわれが活動する非武装地帯での停戦が守られていない」と述べ、兵士の安全を確保できないことを撤退の理由に挙げました。
オーストリア軍は、国連がゴラン高原で平和維持活動を開始した1974年から活動に参加していて、現在は人員のおよそ40%を占め中核を担っています。
日本の自衛隊も、ことし1月、治安状況の悪化を理由にゴラン高原から撤退しており、オーストリア軍が撤退することによって、現地で監視に当たるのはフィリピンとインド、2か国の部隊のみとなり、今後の活動に支障が出ることも予想されます。
■国連、ゴラン対応検討へ
国連は、ゴラン高原での平和維持活動で中核を担うオーストリア軍の部隊が撤退することを受けて、ほかの国に部隊の派遣を要請するなど対応を余儀なくされています。
国連平和維持活動担当のエドモンド・ミュレ次長補は、6日、NHKとのインタビューで「われわれは、すでにほかの国に対し部隊を派遣するよう要請を始めた」と述べました。
そのうえで、40年近く続いているゴラン高原の平和維持活動は、シリアの内戦の影響が周辺地域に拡大することを防ぐ意味でも重要であり、「任務を変更する予定はない」と述べました。
一方、国連事務総長のネザキー広報官は記者会見で、「事務総長は、オーストリアの部隊の撤退が、地域の安定に及ぼす影響を懸念している」と述べました。(NHK)>
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