12951 ドイツ内需が南欧諸国の輸出を支援  古澤襄

<[パリ 7日 ロイター]7日発表された4月の独貿易統計によると、他のユーロ圏諸国に対するドイツの貿易黒字がゼロになり、過去最低となった。
他のユーロ圏諸国からの輸入が前年同月比5.4%増加し、ドイツが債務危機に苦しむスペインやポルトガルなどの南欧諸国を支援している構図が浮き彫りになった。
ベレンバーグのエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は、堅調な内需を背景に、ドイツの輸入の伸びは今年、輸出を上回ると予想。「これは、対ドイツ輸出とドイツ人観光客の訪問数が伸びているユーロ周辺国にとって、とりわけ追い風になる」と述べた。
フランスや経済協力開発機構(OECD)は、ユーロ圏の債務危機脱却には南欧諸国の財政再建努力だけでなく、長期的にはドイツが内需を拡大し他のユーロ圏諸国からの輸入を増やす必要があるとし、ドイツを批判してきた経緯がある。
2010年には、当時フランスの財務相を務めていたラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事がドイツに内需を拡大するよう迫っていた。
バークレイズの首席欧州経済エコノミスト、フィリップ・グダン氏はその頃から比べると状況は改善したとし、「ドイツがリバランシングに取り組んでいることを認識する必要がある」と指摘した。
このところの南欧諸国の経常赤字減少は、リセッション(景気後退)による需要減退が主因とされてきた。だが競争力向上に向けた改革が奏功し始めており、南欧諸国の輸出は回復傾向にある。
スペインでは3月に初めて貿易収支が黒字化した。内需低迷を背景に輸入が落ち込む一方、輸出が継続的に増加していることが背景にある。

またポルトガルが発表した2─4月の貿易赤字は前年比25%以上減少した。
グダン氏は「周辺国が過去4年に実施した措置が実を結びつつある」と分析している。(ロイター)>
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