<米中央海軍第5艦隊のジョン・ミラー司令官は先ごろ、司令部を置く中東バーレーンのマナマで産経新聞と会見した。同艦隊は5月半ばから2週間にわたり国際掃海訓練をペルシャ湾一帯海域で主催、日本を含め約40カ国が参加した。
今年が2回目となる訓練は、機雷の捜索・除去など掃海訓練から海上交通の安全をめぐるセミナーまで、包括的で広範囲に及んだ。昨年9月の1回目の訓練には33カ国が参加しており、ミラー司令官は「(昨年の)経験を踏まえ訓練し、各国は成果を持ち寄り、反省し討論しながら次につなげる。極めて複雑な作業だ」と語った。
司令官は「掃海訓練は特定の国や組織を対象としたものではない。しかし日本は原油の約7割が湾岸からだ。世界の通商貿易にこの海域の安全と安定が極めて重要なのは明らかだ」と明言。名指しはしないがイラン問題が地域最大の懸案なのは衆目の一致するところで、訓練自体が危機への抑止力といえる。
日本は今回、自衛官のみだったが、前回は海上自衛隊艦艇2隻が参加した。ミラー司令官は「日本の貢献に感謝している。彼ら(海自)は壮健で素晴らしい」と評価、一層の活躍を期待した。また、日本国内での国内での憲法論議の活発化を歓迎したいと述べ「何ができ、何ができないかを決めるのは日本。われわれは日本の決定を尊重する」と付け加えた。
来年の訓練に関しては時期や規模、範囲などを含め検討中だ。中東で利害を異にする中国やロシアが参加するかも注目される。
CMF(テロ対策海賊対処)司令官も兼ねるミラー司令官は、ソマリア沖の海賊が弱体化してきたことを朗報として挙げ、「多くの国々の努力の結果だ。海上自衛隊の貢献は大変力強いものだ」とし、国際社会の一層の努力と協力に期待を寄せた。(マナマで、産経・千野境子特派員)
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12955 「日本の貢献に感謝」 ミラー米第5艦隊司令官 古澤襄

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