13081 逃亡希望先、なぜエクアドル? 欧米の敵「保護」  古澤襄

<【ニューヨーク=黒沢潤】南米エクアドルの反米左派コレア政権は23日、スノーデン容疑者の亡命申請受け入れを示唆した。コレア政権としては中南米地域の“反米同盟”を率いたベネズエラのチャベス大統領の死去後、同地域で存在感を高めたいとの思惑がある。スノーデン容疑者側には、政権基盤が盤石で、欧米諸国に「敵対する」人物の亡命を受け入れているエクアドルなら“身の安全”が保証されるとの判断があったとみられる。
反米同盟の盟主的存在だったチャベス氏の後継者であるマドゥロ大統領は4月の大統領選で僅差で勝利したばかり。政権基盤は弱く、対米関係の改善を模索中だ。
中南米の政治力学が微妙に変化する中、カストロ政権のキューバや、オルテガ政権のニカラグアなどとともに反米同盟の一角をなすエクアドルのコレア政権は、「地域のリーダー的存在にまではなれないものの、チャベス氏のような強硬姿勢を見せることで、地域の“顔”としての存在感を発揮したい思惑がある」(外交筋)と指摘される。
エクアドルは昨年から、内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者、アサーンジ容疑者を在英エクアドル大使館内に保護している。“米政府の敵”スノーデン容疑者を受け入れれば、反欧米姿勢はより明確になる。
コレア大統領はこれまで、連続再選規定を撤廃し、司法権も縮小させただけでなく、今月14日にはテレビ局などの政権批判を封じ込める「メディア規制法」を成立させるなど、強権的な政治手法をとってきた。大統領は一方、豊富な石油資源を元に貧困層などへのバラマキ政策を通じて今年2月に3選を果たしている。国民からの人気は高く、政権が早期に揺らぐ可能性は低い。
もっとも、エクアドルは政治面で米国と敵対しているとはいえ、関税で優遇措置が与えられている米国の「アンデス諸国貿易特恵法」の対象国だ。対象だった南米計4カ国のうち、コロンビアとペルーは自由貿易協定締結に向けた対米交渉を開始し、ボリビアは反米色を強めて2008年に対象から外れたため、今も優遇措置を受けるのはエクアドルのみ。米議会は来月が特恵法の延長時期にあたるため、特恵法延長を望むならスノーデン容疑者を引き渡すよう揺さぶりをかけるとみられる。(産経)>
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