13113 参院選:自公、ねじれ解消に執念   古澤襄

<通常国会が26日閉会し、与野党は7月の参院選に向けて走り出した。自民、公明両党は計63議席以上を獲得して衆参の「ねじれ」を解消し、政権運営を安定させることを最優先に置く。安倍晋三首相にとっては参院で改憲の発議要件を満たす3分の2以上をいかに結集するかも課題だ。【竹島一登、福岡静哉】
「ねじれによって政治の決断ができず、迷走によって国力が大きくそがれた。これを解消するのはこの参院選しかない」。首相は26日、自民党の選対本部会議でこう語り、ねじれ解消に強い執念をにじませた。自民、公明両党は東京都議選での全勝に勢いづいており、公明党の山口那津男代表も記者団に「政治の安定に国民の強い期待があると思う」と語った。
自民、公明両党の非改選議員は59人。過半数(122議席)の回復に必要な63議席のうち、公明党が目標とする10議席を確保すれば、自民党の必要議席は53議席となる。
首相がねじれ解消にこだわるのは、衆院議員の任期を3年半近く残して、参院選でねじれを解消すれば、小泉内閣以来の安定政権が見えてくるからだ。首相の経済政策の「アベノミクス」は成長戦略の力不足が指摘されている。大胆な規制改革など法改正が必要な措置も含めて、参院選後も切れ目なく対策を打っていく必要がある。自民党の石破茂幹事長は党会合で「ねじれを解消し政治を安定させるのは、国家国民に対する責務だ」と語った。
首相は昨年12月の政権奪還後も「対決型」の国会運営を慎重に避けてきた。それでも衆院小選挙区を「0増5減」する区割りを定めた改正公職選挙法は、参院を足場とする民主党など野党の抵抗で、4年ぶりの衆院再可決に頼らざるを得なかった。26日に参院で可決された首相問責決議もねじれの産物だ。
2008年6月の福田康夫、09年7月の麻生太郎の両元首相は参院で問責を受けたことが結果的に退陣や衆院解散につながった。

首相自身も第1次内閣時の07年参院選で大敗。ねじれ国会となり退陣に追い込まれた。26日の記者会見では「あの時の挫折を私は深く胸に刻み込んだ」と振り返った。ねじれを解消しなければ安定的な政権運営はできないという思いは強い。
これに対し、野党側は「自公過半数阻止」の目標では一致しており、今回の問責も結束を示す狙いがある。だが、参院自民党の脇雅史国対委員長は記者会見で「数の上では可決されたが、新しい選挙結果に基づいて粛々とやるだけだ。何の意味もない」と指摘した。
 ◇改憲発議3分の2以上、鍵握る公明
憲法改正発議に必要な3分の2以上の参院勢力(162議席以上)の基礎は、改憲論に立つ自民、日本維新の会、みんなの党、新党改革の4党だ。4党の非改選議席は62議席。3分の2には改選数121のうち100議席以上が必要となる。維新の失速もあり、4党のみでの実現は困難な情勢だ。参院で一定勢力を持つ公明党が鍵を握る。
4党に公明党(非改選9議席)が加わり、同党が目標の10議席を確保すれば、4党の必要議席数は81に下がる。ただ、公明党は9条改正に警戒感が強く、96条の先行改正にも反対だ。山口那津男代表は23日の記者会見で「短兵急に一方の考えだけで進めることは難しい」と語った。
首相も公明党の意向をにらみ慎重ないい回しが目立つ。26日の記者会見では「国民の理解と平仄(ひょうそく)を合わせ、慎重によく議論していく必要がある」と述べるにとどめた。(毎日)>
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