北朝鮮の核とミサイルへのアメリカの対応についてです。元CIA長官ウールジー氏の提案を主体としたレポートです。今回でこのエントリーは終わりです。
<<「北朝鮮への拠点爆撃を実行せよ」 核攻撃の脅威に元CIA長官が対応策を主張>>
■放置すれば地獄、攻撃しても地獄
ウールジー氏の今回の提案のユニークな点は、拠点爆撃の標的を核兵器自体ではなく、長距離、中距離のミサイル発射装置とするところだった。同氏は北朝鮮の核よりも、その核を他国に撃ち込むミサイル発射能力を破壊してしまおうというのである。
このウールジー氏の提案は米国の専門家の間でどのような評価を受けているのか。
同氏が長官を務めたCIAの安全保障やアジアの元専門家たちが組織した民間調査研究機関「リグネット」は以下のような受け止め方を発表していた。
・北朝鮮の核ミサイル開発は、もはや米国を基本的な政策決定の分岐点へと追い込むところまで前進した。だが米国にとってはこれぞという適切な選択肢がない。どんな行動を取っても、北朝鮮との核戦争につながり得る危険性を秘めている。
・現時点では、北朝鮮との交渉も、制裁も、中国の支援の獲得の試みも、過去20年ほどの間、ほとんどなんの成果も挙げていない。その結果、北朝鮮はいまやアジアにおける米国の同盟国に対し、その存続をも脅かす脅威となり、米国にも同様の脅威を突きつけつつあるのだ。
・北朝鮮への先制攻撃は、目標を狭い範囲に限定する拠点爆撃でもエスカレーションの危険に満ちている。2006年から拠点爆撃を説いているペリー、 カーター両氏は、米国がこの種の攻撃を遅らせれば遅らせるほど、そのような攻撃のもたらす結果は重大となり、破滅的な状況にもつながる、と当時から警告し ていた。
さて、以上がリグネットの総合評価なのだが、ここでもウールジー氏の主張する拠点爆撃への是非や賛否をはっきりと述べてはいない。放置すれば地獄、攻撃しても地獄、という米国のいまのジレンマを改めて強調するだけなのだ。米国にとっての北朝鮮核武装問題はそれほど対応が難しいということだろう。
しかしCIA長官だったウールジー氏のような人物が、なお実力行使による北朝鮮の核武装や長距離ミサイル発射の阻止を正面から提唱していることは、日本側としても正確に認識しておく必要はあるだろう。(終わり)
杜父魚文庫
13204 北朝鮮問題の地獄とは 古森義久
古森義久
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