13282 庶民は自国通貨を信用せずに金買いに走る  宮崎正弘

上に政策あれば下に対策あり。庶民はなぜ自国通貨を信用しないで金買いに走るのだろう?
香港が拠点の「周大福」は香港、マカオの辻々に店舗があるが、中国全土にも1500店舗、内蒙古自治区のフフホト、パオトウにもあって店内は朝から大混雑をしている。ライバルはおなじく香港資本の「周生生」と台湾系といわれる「六福」である。
周大福の株価は第二四半期に45%上昇した。同時期に金価格は14%下落した。
いずれも主力商品は何か? ゴールドの装飾品、金塊、コイン。金の首飾り、指輪、イヤリング、その他。金、金、金である。
中東、印度、中国の金買いは凄まじいことになっており、金価格は昨秋来低迷し、年初に一オンス1675ドル、七月初旬は同1245ドルと下落したが、盛り返した。猛烈な金買いがインド、中国、そして最近は景気の良い東南アジア諸国でおこっているからだ。
先週、筆者はラオスにいた。
ビエンチャンの中央市場の二階には金ショップが蝟集している。早朝から、札束をかかえてやってくる、やってくる。金買いの列である。バンコックのチャイナタウンにも「金行」(銀行ではなく、金を売る店)が二、三十店舗、軒を競うが、やはり早朝、新聞紙に現地通貨を包んで、金塊を購入する。
つまり、それぞれの国民が自国通貨を信用しておらず、万一に備えているのである。
他方、日本でもマンションを買い求める中国人が目立つが、米国西海岸は高級マンションばかりか、豪邸が飛ぶように売れる。中国人がひょっこり不動産斡旋業者の店先に現れて、ばんばん、現金を積んで購入するのだ。
第一の理由は子供達のアメリカ留学にともない住居の確保と将来の値上がりに期待しているからである。
第二の理由は海外逃亡のときのファイナル・リゾート。
第三に永住権確保の「抜け道」だからである。
現行E5ビザは、50万ドル以上の投資とアメリカ人十名以上の雇用という厳しい条件が付帯するが、高価な不動産を商業地に所有する場合は例外的とされているからだ。
NAR(全米不動産協会)の直近(7月8日)のデータによれば中国人の不動産購入は123億ドルとなって、カナダに次いで二位に急浮上した。しかもそのうちの七割と取引がキャッシュだったそうな。
大嵐の前にネズミは地表に現れるように、あの絶対王朝の断末魔があがった。 
(読者の声)貴誌のコメント「日本人拉致をアメリカははるか昔、1970年代からCIAは把握」とありましたが、北朝鮮による拉致は1977年位から噂になっていたと記憶します。
1980年代には「山陰や日本海側で合宿するのは危ない」というのは広まっていたと記憶しています。おっしゃる通り、この噂をどこかが握りつぶしたんでしょうね。
しかし土井など社会党の罪は深い。日本は中学生の少女が下校中に誘拐されてもほっておく国だったんですね。安倍政権を応援します。日本よ。変われ!
ところで、直近のハノイ情勢をちょっと報告します。ハノイの日本レストランでは、10年から5年ほど前までは日本レストランは大もうけだったときいております。理由は、日本レストランが少なく、お客が押し寄せたからです。今は、キンマ通りなど日本レストランが数多く、一店舗当たり客数が少なくなりレストランもしくはそのオーナーがどんどん交替していっています。
また和食の価格は、バンコクが一番安く、次はホーチミン市、ハノイは最も高いです。これは日本人数(ターゲット顧客数)順と重なります。
ミャンマーはすごいブームですね。
先日の携帯電話事業入札では、負けたYOMA(シンガポール上場)の株価が急落、買ったテレノールとウリドゥの商品を扱っているネラ(シンガポール上場)の株価が急上昇となりました。携帯普及率が現在10%以下、日本やタイをみていれば、タイムマシンに乗ったようなもので数年後にはミャンマーでの普及率が爆発的に上昇するのは見えています。
5月22日のバーナンキFRB議長の発言以降の株安で、マレーシアのクアラルンプール指数のみが下げ渋っています。マレーシアって強靭ですね。(R生、ハノイ)
(宮崎正弘のコメント)三月にクアラルンプールへ行きましたが、経済活動はしたたか、通貨も97年の通貨危機に懲りてきわめて慎重な対策をとっていると見受けました。マラッカへ行ってみて、やはり景気の落ち込みを感じましたが。
七月初旬にジョホールバルへ立ち寄りましたが、ここはマレーシアというより、シンガポールの副都心って、感じでした。
ミャンマーは凄まじいブームですね。小生、八月にヤンゴン入りを予定しておりましたが、飛行機がとれません。ホテルは予約を受け付けて呉れないほど混雑ぶり、山口元大使も、急に行ったときは民宿に泊まったとぼやかれていました。というわけで小生は秋以後に延期しました。
杜父魚文庫

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