<21日投開票された参院選の岩手選挙区(改選数1)で、生活の党の小沢一郎代表(71)が擁立した候補が惨敗し、地元・岩手県で小沢氏の影響力低下が鮮明になった。県内4小選挙区のうち3選挙区を落とした昨年の衆院選に続く地元での敗北。かつて圧倒的な支持基盤の固さを誇った「小沢王国」はなぜ崩壊したのか。
「正直言って大変驚いている」。小沢氏は21日夜の会見で、岩手選挙区の敗北についてこう述べた。小沢氏の同級生、中目(なかのめ)一行さん(70)は「崩壊したとは思っていない。われわれは次の選挙を見据えている」と語るが、今回はおひざ元の奧州市でも異変が現れた。
奥州市内の得票数は、3選を決めた無所属の平野達男前復興相(59)が2万8671票だったのに対し、生活新人の関根敏伸氏(57)は1万2578票と半分にも満たなかったからだ。県全体では平野氏の24万3368票に対し、関根氏は9万1048票にすぎなかった。
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「小沢さんの時代は終わった」。奧州市水沢区の主婦(70)はこう話す。小沢氏の秘書を20年以上務めた高橋嘉信元衆院議員(59)も「王国は完全消滅。政局と自分の立場だけ優先してきた結果だ。人の心は離れてしまった」。
なぜ小沢氏への期待が薄れていったのか。過去に小沢氏と行動を共にした県政関係者は「この1年間だけでも政党が次々と変わり、政策も共産党などの野党と変わらなくなった。その変化に県民がついていけなくなった」と分析する。
理由はそれだけではない。平成23年3月の東日本大震災で岩手も甚大な被害が出たのに小沢氏が初めて被災地入りしたのは10カ月も後の24年1月。小沢氏に近い郷右近(ごうこん)浩県議(48)は「警備上の理由で被災地入りをやめてほしいという要請があったため」と明かすが、被災者の目に被災地入りが遅れた小沢氏は冷たく映った。
津波被害を受けた大槌町の主婦、浜田智子さん(37)は「岩手の人なら来てほしかった」と嘆く。小沢氏の後援会幹部は「尾を引いているのは間違いない」と認める。
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「王国」の崩壊は今度どう影響するのか。八幡平市の田村正彦市長(65)は「小沢さんは自分の意に沿わない人を切り捨ててきた。市長選では露骨に対立候補をぶつけてきた」と振り返る。
首長選で対立候補を立てるのは、小沢氏側かどうか色分けをはっきりさせる狙いがあるとされる。今月無投票で4選した住田町の多田欣一町長(68)は「もうぶつけることもできなくなるだろう。そうなると(選挙の)結果も変わってくる」と指摘しており、小沢氏の影響力低下はより加速するとみられる。(産経)>
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