<【ワシントン=小雲規生】スパイ活動取締法違反容疑などで訴追されているスノーデン容疑者をめぐり、米国内では手詰まり感が広がっている。
今後もロシアに容疑者の引き渡しを求めることは確実だが、24日には容疑者にロシアへの入国に道を開く許可証が発行されたとの情報も流れるなど、米国のいらだちはさらに高まりそうだ。半面、米国にはシリア情勢の打開や核軍縮でロシアと協調したい考えもあり、全面対決には踏み切れないでいる。
米CNNテレビ(電子版)は24日、「ロシアが一時的な亡命を認めるかは不明で、判断には数カ月かかる」との見通しを示した。カーニー大統領報道官は23日の会見で、スノーデン容疑者に関連して「ロシア当局との対話を続けている」として問題解決に向けた努力を強調しており、今後も容疑者の引き渡しを求めていく考えとみられる。
しかしすでに米議会ではロシアへの反発が表面化している。上院では19日、9月にロシア・サンクトペテルブルクで開催される20カ国・地域(G20)首脳会合について、開催地変更を促す決議案が提出された。首脳会合に合わせ、プーチン大統領が要請している米露首脳会談の拒否や、2014年のソチ冬季五輪をボイコットすべきだといった声も上がっている。米国の不満は今後も高まることが予想される。
カーニー報道官は9月のオバマ大統領のロシア訪問については「大統領の意思だ」と明言。しかし「それ以上のことは決まっていない」とも付け加え、ロシアに揺さぶりをかけている。
その一方で、米国にはロシアとの全面対決は避けたいという思惑もある。シリア情勢の打開には、アサド政権の後ろ盾であるロシアの協力が不可欠だ。オバマ大統領が打ち出した核軍縮の実現にもロシアとの協調が必要になる。
オバマ大統領は6月17日のプーチン大統領との首脳会談後の共同会見で、「冷戦時代の思考から抜け出した協調関係」の重要性を訴えており、ロシアの態度にいらだちつつも、信頼関係は維持したい考えだ。(産経)>
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