■日本政府「同盟重視を評価」
<ホワイトハウスは24日、オバマ大統領が故ケネディ元大統領の長女キャロライン・ケネディ氏を次期駐日米大使に起用すると発表した。ケネディ氏は東アジア情勢が微妙な時期に米国のアジアでの最大の同盟国、日本における米国の代表者となる。
尖閣諸島の領有権をめぐって日中間の緊張が高まりを見せる一方、いわゆる歴史問題で日韓関係がぎくしゃくしており、日韓関係の強化に向けての米国の働き掛けはうまくいっていない。
ホワイトハウスは、定期的な人事発表の中でその他の人事とともに、ケネディ氏の指名を明らかにした。オバマ氏は、大統領選での資金集めの責任者や有力な支持者を、各国大使に指名する歴代の大統領の長年の慣行に従った形だ。
ケネディ氏は、2008年の民主党大統領選予備選で叔父の故エドワード・ケネディ上院議員とともに、オバマ候補を支持した。当時、オバマ氏と対立候補だったヒラリー・クリントン前国務長官は、ケネディ家の支持獲得を争っていた。
ケネディ家は米有数の政治家一族だ。その一員であるキャロライン・ケネディ氏は、上院議員出身のマイク・マンスフィールド氏、副大統領だったウォルター・モンデール氏、上院議員やレーガン大統領の首席補佐官の経験を持つハワード・ベーカー氏など、著名な駐日大使の後に続くことになる。前任者となるジョン・ルース現駐日大使はシリコンバレーの著名弁護士で、オバマ陣営に多額の献金をしている。
政権2期目のオバマ氏はケネディ氏に先立ち、自身の政治的支持者を何人か大使に指名している。例えば今月、12年の選挙戦で資金集めの責任者だったマシュー・バーザン氏を駐英大使に、この選挙戦で50万ドル以上を集めたジョン・フィリップス氏を駐イタリア大使に指名した。6月には、ホワイトハウスの政治担当部長だったパトリック・ガスパード氏を南ア大使に指名している。
ケネディ氏の指名を検討することになる上院外交委員会の共和党トップ、ボブ・コーカー議員(テネシー州)は、インタビューで、ケネディ氏の指名を偏見なくみる意向を示した。「日本は非常に有名な人物を大使として迎えることに大変慣れている。私見だが、うってつけの人物であることは明らかだ」と述べた。
日本では数カ月前からうわさが広がっており、今回の指名はほとんど驚かれなかったが、米国の著名人に興奮してきた有名人好きの国とあって、当初は強い関心が持たれていた。
東京で初めて話が浮上した際、菅義偉官房長官は「元大統領は日本になじみがあり、憧れを持つ人は多いので、そういう意味では歓迎したい」と述べている。
日本政府は今回の指名について声明で、「キャロライン・ケネディ氏は、オバマ大統領の篤(あつ)い信頼を得ている」と歓迎の姿勢を示し、「今回の指名は、オバマ政権の日米同盟重視の姿勢を表しているものとして高く評価」するとしている。
ケネディ氏にはワシントンに関する深い知識はないが、女性初の駐日米大使として、男性中心社会の日本で女性の地位向上に関する議論を加速させてくれると期待する日本人は多い。マッキンゼーによると、日本の大学生は49%が女性だが、取締役はわずか2%、最高経営責任者は1%未満にとどまっている。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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