<[東京 31日 ロイター]公明党の斉藤鉄夫・税制調査会長は31日、ロイターのインタビューに応じ、現行5%の消費税率の引き上げについて、経済状況からは引き上げの条件は整っていると述べ、予定通り増税するのは当然だとの認識を示した。
2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることは、現行法で定められた既定方針だとし、経済環境が整いながら見送れば、政治のリーダーシップが問われ、世界からの信認を失うと警告した。
2段階の消費税引き上げは、社会保障制度を持続可能なものとするために「公明党にとっても大きな決断だった」とし、既定方針通り実施することが「当然だ」とした。
足元の経済情勢は好転し、経済状況からは「条件は整っている」とも指摘。「ここまで良い経済指標が出ているにもかかわらず、実施できないとなると、日本の政治には、消費税を上げるだけのリーダーシップや力がないと世界から思われる。損失のほうが大きい」と指摘。既定通り実施しなかった場合の長期金利の急上昇を警戒し「負のスパイラルに入ったら取り返しがつかない」と、安倍晋三首相の決断を促した。
安倍首相は9月9日公表の4─6月国内総生産(GDP)2次速報などの経済指標を踏まえ、10月召集の臨時国会までに最終決断する方針だ。政権内では、麻生太郎財務相が予定通りの実施を主張する一方で、首相のブレーンを務める浜田宏一氏、本田悦朗氏の両内閣官房参与は経済への影響を考慮して、小刻みな増税を求めている。このため政府は有識者から広く意見を聞いて最終判断する方針だ。
こうした決定プロセスについて、斉藤氏は、増税による景気下振れを回避し下支えするための対策を政府から引き出すための方策で「安倍首相はぶれていないと確信している」と語った。
景気下支え策として、税制面からは投資減税の具体化の検討に着手し、関連法案を秋の臨時国会に提出する考えを明らかにした。補正予算の必要性にも言及したが、規模や内容はこれから詰めると述べるにとどめた。
逆進性の高い消費税増税の負担感を軽減するために、公明党が主張してきた軽減税率については「消費税率10%段階では、是非実現したい」と述べ、年末の税制改革の年度改正がひとつのリミットとした。
自民・公明両党は今年1月に消費税率8%段階での軽減税率導入を見送る一方、「消費税率の10%引き上げ時に、軽減税率制度を導入することを目指す」ことで合意。与党の専門調査会で団体からのヒアリングを続けてきた。斉藤氏は「夏にヒアリングをまとめる形で、中間報告をまとめる」方針を明らかにし、それを踏まえて、年末の税制改正大綱での決着に意欲を示した。
軽減税率の水準については「低い方はいったん5%に戻すこともあり得る」とし、消費税率が10%に引き上げられた段階で、軽減対象品目については5%に引き下げることも視野に協議を行う見通し。対象品目としては、「生活必需品として、食料と新聞・出版」などを挙げた。(ロイター)>
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