土地の開発巡り、ラオス全土で4000件の訴訟。大型物件は中国企業が絡む。
先頃、ラオスの首都ビエンチャン市政府当局は、工業区開発予定地区の住民の訴えをしりぞけ、開発の主契約者は中国の「上海万風集団」と決めたと発表した。住民は激高し、次の行動を取る予定という(アジアタイムズ、8月3日付け)。
外国企業、とりわけタイと中国からの投資がめざましいラオス。首都に新しい開発地区を発展させようとするのは、となりのカンボジアが川の中州を開発して新都心を造成し、成功したからである。カンボジアは親中派の代表、首都の高層ビルの大方が中国企業の投資である。
ラオスはメコン河を挟んでタイの北側にビエンチャンならびに観光資源が集中しており、摩天楼こそまだないが十階建てのビルはたいがいが外国投資である。
新しく造成中のルアンマーシ地区開発は365ヘクタール。ここに公園を造成し、巨大ショッピングモール、娯楽コンプレックス、スポーツ施設など新都心型の大型な町作りを提案した中国の企業は、住民435家族への保証金を要求額の十分の一しか提示していないため、多くの住民が立ち退きに応じていない。
ラオスの住民の不安感は嘗ての巨大開発を言いつのり、四億ドルのプロジェクトを提案した中国企業が、その後の住民の保証金要求に一切回答せず、プロジェクトは立ち消えとなった。
ラオス全土では、こうした住民の補償をめぐる訴訟が4000件も起きていて、住民パワーが力強くなっていることを窺わせる。
杜父魚文庫
13567 ラオス政府はなぜ中国企業にここまで弱腰なのか 宮崎正弘

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