<エジプトではデモ隊と治安部隊との衝突で800人以上が死亡するなか、暫定政府を主導する軍のシシ国防相が、デモ隊の強制排除以降初めて公の場で演説し、ムスリム同胞団による抗議行動を「テロ行為」だとして、厳しく取り締まる姿勢を示しました。
エジプトでは、事実上のクーデターに抗議するデモ隊を治安部隊が強制排除したのをきっかけに、全土で衝突が広がり、暫定政府によりますと、この5日間の死者の数は少なくとも800人以上に上っています。
こうしたなか、暫定政府を主導する軍のトップで副首相も兼ねるシシ国防相が、強制排除のあと初めて公の場に姿を現し、軍や治安機関の幹部を一堂に集めた会合で演説しました。
この中でシシ国防相は「政府の建物を攻撃するなどテロ行為を黙って見過ごすことはできない。厳しく対処する」と述べ、ムスリム同胞団などによる抗議行動を一段と厳しく取り締まる姿勢を示しました。
さらに暫定政府は、拘束したムスリム同胞団のメンバーのうち240人について、テロや殺人の疑いなどで本格的な取り調べを始めたと発表し、締めつけを強化しています。
ムスリム同胞団は18日もカイロ郊外などで抗議デモを行いましたが、国営通信によりますと、途中で行進が阻止されたほか、一部は衝突を回避するためとしてデモを取りやめており、暫定政府側の強硬姿勢を前に今後、戦術の変更を余儀なくされる可能性も出ています。
■EUエジプトとの関係見直しへ
エジプトの混乱を受けて、EU=ヨーロッパ連合のファンロンパイ大統領とヨーロッパ委員会のバローゾ委員長は18日共同で声明を発表し、「さらなる事態の悪化は、エジプトだけではなく、周辺地域にも予測できないような影響をもたらす」として強い懸念を示したうえで、暫定政府と軍に対し、デモ隊との衝突をやめるよう求めました。
そのうえで、暴力を終わらせ、対話による民主化プロセスを進めるため、「EUとしては、近くエジプトとの関係を緊急に見直し、適切な措置をとる」としています。
EUでは19日に加盟28か国の大使級の会合を召集したうえで、今週中にも緊急の外相会議を開いて、エジプトの暫定政府への支援の停止を含めた対応を協議する見通しです。
ただ、暫定政府とムスリム同胞団が衝突を繰り返して対決姿勢をますます強めるなか、EUは双方に対話を促すための有効な手だてはあまりなく、ヨーロッパと地中海を隔てて位置するアラブの大国、エジプト情勢の悪化に焦りの色を強めています。(NHK)>
杜父魚文庫
13684 エジプト軍トップ 強硬姿勢示す 古澤襄

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