13722 リニアコライダーは東北・北上山地が候補  古澤襄

■次世代加速器で物理学者ら—巨額建設費、文科省が判断へ
宇宙誕生の謎解明を目指す次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、物理学者らでつくる立地評価会議は23日、国内の建設候補地として岩手・宮城両県の北上山地が最適と発表した。福岡・佐賀両県の脊振山地も候補地として検討したが、予定地にダム湖があることなどから北上山地を選定した。
評価会議は、北上山地の中心的な研究施設の場所について、仙台と東京から交通の便が良い新幹線沿線を推奨した。共同議長を務める山本均東北大教授は記者会見で、「今後は北上山地について現地設計が始まる。協力と支援をお願いしたい」と述べた。
脊振山地はトンネルのルートがダム湖の下を通り、建設の許認可を得るのが困難な上、認可が得られても止水工事のため大きなコスト増が見込まれる。一方、北上山地は地上とトンネルを結ぶ立て坑が短く済み、総合的な比較評価点は63点と、脊振山地の37点を大きく上回った。
ILCは地下約100メートルに長さ30キロ超の直線トンネルを掘り、電子と陽電子を加速して衝突させ、発生した素粒子を測定する。現在の計画では建設費だけで8300億円、土地買収費や測定器製造費、人件費を含めると総額1兆270億円と試算される。
欧米は資金難で日本に建設を期待しており、日本に建設する場合は少なくとも半額負担が必要。文部科学省が予算計上の可否を判断するが、同省が意見を求めた日本学術会議の検討委員会は「時期尚早」との見解をまとめており、9月末にも回答する。(時事)>
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