[ワシントン 26日 ロイター]ケリー米国務長官は26日、シリアの化学兵器使用疑惑について「極めて忌わしい出来事」と非難した。将来の軍事介入への布石を打ったとみられている。これに対し、野党共和党のベイナー下院議長は、ホワイトハウスに、何らかの行動を起こす場合、あらかじめ議会に諮るよう求めた。
ケリー長官は、オバマ米大統領は「最もぜい弱な人々に対し、極めて忌わしい兵器を使用した責任は必ず問われるべきであると確信している」と述べた。
21日未明にダマスカス郊外で発生した攻撃で、化学兵器が使われ数百人が死亡したとみられている。
長官は記者団に対し「シリアで前週発生したことは、世界の良心を揺さぶった」とし、「化学兵器を使い、女性や子供、罪のない市民を無差別に殺害することは極めて忌わしいことだ」と言明した。
ケリー長官はアサド政権が化学兵器を使用したと断言することは避けたものの、現地から伝えられる映像や証言から、シリアで化学兵器が使用されたことに「疑いの余地はない」とし、シリア政権が化学兵器を保持していることも認識していると述べた。
ホワイトハウスのカーニー報道官は「われれわれの見解では、シリア政府に非があることにほぼ疑いはない」としつつも、オバマ大統領は対応策を検討中と述べた。
国務省は、対応策を決定する期限は設けていないものの、オバマ政権は緊迫感を持って、あらゆる選択肢を用意しているとしている。
ケリー長官の会見を受け、ベイナー下院議長は、ホワイトハウスはシリア政府の化学兵器使用疑惑に対していかなる行動も起こす場合も、事前に議会と協議すべきとの見解を示した。
議長のスポークスマンは「議長は、いかなる行動も明確な目的と安定達成のための大局的戦略のほか、議会との有意義な協議が必要との見解を明確にした」と述べた。
国連の調査団は26日現地入りし、負傷者からの聞き取り調査や血液のサンプルを採取するなど、本格的な調査を開始した。(ロイター)>
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