■化学兵器使用断定、「責任取らせる」
<【ワシントン=小雲規生】オバマ米政権は26日までに、シリアの首都ダマスカス郊外で化学兵器が使用されたと断定した。ケリー国務長官が同日の記者会見で明らかにした。またカーニー大統領報道官は同日、化学兵器がアサド政権により使用されたとの見方を示し、数日中に関連情報の分析結果を公開すると表明。米主要メディアは、米国がシリアへの攻撃準備を整え、各国との合意形成を進めていると報じた。
ケリー氏は犠牲者の多さや現地での証言を根拠に「大規模かつ無差別に化学兵器が使用された」と断定。「倫理に対する冒涜(ぼうとく)だ」と批判した上で、「内戦の範囲を超えている」と非難した。またアサド政権が5日間にわたって国連調査団の現地入りを拒否し、攻撃を続けることで証拠を隠滅したと糾弾した。
ケリー氏はさらに「オバマ大統領は最も憎むべき兵器を使った側に責任を取らせる決意だ」と述べ、米国として行動を取る用意があることを強調。カーニー大統領報道官は同日の会見で、アサド政権による化学兵器使用について「ほとんど疑いがない」と明言した。
米国はかねて化学兵器使用を「レッドライン(越えてはならない一線)」と強調してきた。26日付の英紙デーリー・テレグラフは米英軍が数日中にシリアへの軍事攻撃を開始する計画だと報道。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は25日、米軍がシリアの化学兵器関連施設など攻撃目標のリスト作成を進めていると報じた。
また米メディアよると、米政府は1990年代のコソボ紛争の際、北大西洋条約機構(NATO)軍が国連安全保障理事会の承認がないまま空爆を行った事例を検討しているという。
米海軍はすでに4隻の駆逐艦をシリアへのミサイル攻撃が可能な地中海東部に配備している。
ケリー氏は化学兵器が使用されたとされる21日以降、欧州や中東の外相らと電話会談を重ね、国際社会として取り得る対応について合意形成を図っている。オバマ大統領も26日、オーストラリアのラッド首相と電話会談し、シリア問題を協議した。(産経)>
<(CNN)アサド政権による新たな化学兵器使用疑惑が浮上したシリア内戦に関連し、米国防総省高官は25日までに巡航ミサイル搭載の4隻目の米海軍駆逐艦を地中海東部に配備したことを明らかにした。
同省は先に、オバマ米政権が軍事手段を含めたシリアへの介入拡大に踏み切った場合に備え、シリア空爆の標的などを新たに見直したことを明らかにしていた。この措置は新たな化学兵器使用疑惑の発覚を受けたものとなっている。
空爆ではシリア領空への侵入が必要な戦闘機には頼らず、巡航ミサイルの発射を想定。標的はアサド政権の省庁や軍事施設が中心だが、シリア政府による化学兵器使用が証明された場合、この攻撃能力を削ぐことも選択肢になるとしていた。
米国防総省当局者によると、地中海に新たに出動したのは巡航ミサイル搭載駆逐艦「ラメージ」。既に展開中の同型駆逐艦「マハン」と交替予定だったが、マハンの一時的な任務継続も決まった。米海軍は地中海に常時、巡航ミサイル搭載の駆逐艦3隻を配備する。
4隻態勢についてはアサド政権への圧力をにらんでいるとの見方もある。
ヘーゲル米国防長官は23日、新たな化学兵器使用が事実なら、同兵器攻撃の再発を阻止するための迅速な対応が必要と強調。同省の公式サイトによると、長官はマレーシアへ向かう軍用機の機上で、実際に起きたことを極めて早急に把握し、適切な対応策を講じるべきだとの考えを示した。
長官はまた、オバマ大統領に対しシリア情勢での緊急事態を受けた選択肢を提示したと指摘。大統領が命じたいかなる選択肢にも対応出来るよう部隊の配置などが必要と述べた。オバマ氏に示した選択肢の具体的内容には触れなかった。(CNN)>
杜父魚文庫
13756 米、シリア攻撃準備へ 古澤襄

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