13790 「腐敗の温床」=石油派(電力、資源エネルギー国有企業)を討て 宮崎正弘

国有石油企業幹部を大量に拘束した習近平の狙いは何か?一連の腐敗粛正、不正追及キャンペーンは、霧のように深かった闇が晴れつつあり、その終局の狙いがみえてきた。
汚職の温床、政治腐敗の元凶=資源派の横暴にメスを入れ、政敵の資金源を絶つという、どろどろした権力闘争が本質である。なにしろ石油派のボスは薄煕来と親しかった周永健康(前政治局常務委員)であり、その黒幕は江沢民、曾慶紅らである。
 
五月に中国石油(CNPC)最高経営責任者の蒋潔敏が査問されたというニュースが流れた。蒋潔敏といえば、資源派のライジングスター、18党大会では中央委員入りしている大物である。
筆者はこの時点で既に次の指摘をしている
「2010年度の同社決算で輸出入の数字が操作された形跡があり、輸入金額が不当に高く、反対に輸出金額が安すぎたからだ。原油を輸入し加工した石油製品を輸出するケースで一トンあたり百ドルの価格差があった」
 
同社の子会社の一つが「シノペック」。さらにこの子会社が100%出資の孫会社がいくつもあって、とくに海外に設立した子会社「中国石油国際事業有限公司」が、こうした不正行為の操作も元締めといわれた。同社を通じて差益が海外へ隠匿され、ごまかした金額は650億米ドル(6兆5000億円)になる。
一部は海外の高官を買収し、あるいはリベートならびに鉱区買収の工作費用に使われたと推測される。なにしろ中国の資源会社はアンゴラにスーダンにブラジルに豪にと、世界中至る所で鉱区を買いあさってきた。
捜査の過程で発覚した事実は、CNPCの子会社(ペトロチャイナ)がハルビンに設立した孫会社が汚職、不敗の伏魔殿だったこと。なにしろ石油会社がナイトクラブを経営し、ロシア人美女を多数抱えていた。そればかりか接待に日本旅行をたびたび催行し、日本ではAV女優らが接客したという。
ほかにも北京郊外に豪華ラボホの経営、酒池肉林の場をこしらえ、幹部のハーレムを築きあげていた(くわしくは拙著『中国を動かす百人』『中国バブル崩壊が始まった』などを参照)。
共産党幹部も国有企業幹部も、その腐敗は留まるところがなかった。
新聞報道によれば、現在拘束されているCNPCの幹部は三人で、李華林副総裁が含まれる。李は孫会社の会長職も兼ねており、腐敗の噂が絶えなかった。
杜父魚文庫

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