【カイロ=田中靖人】シリアの化学兵器使用疑惑を受け米国主導の軍事攻撃の可能性が高まる中、ロイター通信は8月30日、シリアの反体制派側の話として、アサド政権が反政府運動に関わった市民や政権への忠誠が疑わしい兵士らを「人間の盾」として軍などの施設に抑留していると伝えた。
人権団体や脱走兵の話によると、複数の軍や情報機関の施設が民間人の「監獄」として使用されている。また、階級の低い兵士が反体制派と同じイスラム教スンニ派であることを理由にアラウィ派中心の軍上層部への忠誠を疑われ、基地からの退避を認められない事例もあるという。
反体制派や住民の話によると、首都ダマスカスで治安部隊の要員や民兵数千人が学校や一般人の住宅に逃げ込んでいるという。
トルコのイスタンブールに拠点を置く反体制派の統一組織「シリア国民連合」の報道官は「アサド政権はこの3日間で、多数の囚人を軍施設に、兵士を病院や学校に、それぞれ移動させている」と同様の動きを確認していることを明らかにした。米政府高官経験者は、これらの施設が攻撃を受けた場合「アサド政権が『罪のない人々が殺された』と主張する恐れがある」と述べた。
一方、政権側は30日、化学兵器の使用が疑われた現場の一つ、首都南西部ムアッダミーヤへの攻勢を強めた。反体制派が米軍の攻撃に乗じて隣接する空軍基地を確保しようとするのを防ぐためとみられる。(産経)>
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13797 アサド政権が「人間の盾」? 反体制派主張 古澤襄

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