13859 孔子、孟子の故郷、梁山泊の名所も水没する懼れ  宮崎正弘

山東省済寧市は八大炭坑の町、地面の陥没が続いている。
山東省の西南部に済寧(さいねい)市は位置する。この市政府は孔子の故郷である曲阜、孟子の故郷である郷城、そして梁山泊の梁山県を包摂し、「大山鳴動してネズミ一匹」の泰山をいただく泰安は隣町。
済寧は中国の八大炭坑の一つ(トップは遼寧省撫順)。石炭を取りすぎた結果、過去十年に、毎年2000万平方メートルの地面が陥没し、殆どが水没してしまった。このため十万人が移住した。
CNN(9月1日)によれば、「2090年までに市の三分の一が陥没し、およそ500万人が移住せざるを得なくなるだろう」と当局が予測しているという。
となると孔子の故郷も孟子の故郷もいずれ水没する危険性がある。
梁山泊は小説『水滸伝』によって日本ではまったく異なったイメージが出来ているが、同志の巣窟をいう意味は架空の物語の世界。現実に現場に立つと黄河の氾濫による内陸低地、沼ばかりの一帯である。
ともかく石炭による火力発電が中国の全発電の67-72%を占めており、とりわけ遼寧省、山西省、山東省の炭坑はエネルギー需要の爆発によって経済的には潤ってきたが、住民の居住空間が逆に狭隘化してきた。山西省の炭坑は無許可、マフィアによる闇経営が見られ、なかには拉致誘拐してきた少年たちを強制的に働かせてきた。
山西省大同は石炭成金の町として有名を馳せた。地盤沈下は炭坑ばかりではなく、地下鉄工事、ダム工事などで手抜き工事のために地盤落下、崩壊事故が何百件と報告されている。
杜父魚文庫

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