13864 米大統領がシリア軍事行動に向けた姿勢崩さず  古澤襄

<[サンクトペテルブルク 6日 ロイター] – ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議では、ロシアや中国などから対シリア軍事行動への反対が強まるなか、オバマ米大統領は介入を目指す方針を崩さず、見解の一致を見ないまま閉幕した。
オバマ大統領はサミット閉幕後の会見で、G20首脳の大半が、シリアの化学兵器使用疑惑についてアサド政権に責任があるとの意見で一致したと明らかにした。
シリアで化学兵器が使用されており、化学兵器使用を禁じる国際規則を維持すべきとの考えで合意したとしている。
ただ、国連の決議がないまま、シリアへの軍事力行使に踏み切ることには、首脳間で異論があったと明らかにし、これについては同意できないと表明。国連安保理は機能不全に陥っているとの見方を示した。
また10日に米国民に向けてシリアに関する演説を行う考えを明らかにした。オバマ大統領はこの日、ロシアのプーチン大統領と20分にわたり会談したが、両者の溝は埋まらなかった。
プーチン大統領は、自身とオバマ大統領がいずれも互いの立場を譲らなかったとした上で、少なくとも対話があったことを評価。「相手の主張に耳を傾け、論拠は理解しながらも、見解は一致しない。私はオバマ氏の主張に同意せず、オバマ氏も私の意見に同意しない」とし、「ただ、相手の意見を聞き、分析しようと努力はしている」と述べた。
中国の習近平国家主席も、シリアへの軍事介入を踏みとどまるようオバマ大統領への説得を試みたが、オバマ氏は自身の立場の正当性を主張した。
華社によると習主席はオバマ大統領に対し、「シリア危機に対しては、政治的な解決のみが正しい対処法となる。軍事介入は問題の根本的な解決にはつながらない」との立場を示した。そのうえで「行動を起こす前に関係各国が再考することを期待している」と述べた。

これより先、5日に開かれたG20夕食会では、シリアの内戦をめぐり緊迫した議論が行われた。
G20関係筋は夕食会の後「長時間にわたる議論が行われ、各国の間で意見が明確に分かれた」と語った。
シリアでの8月21日の化学兵器使用疑惑をめぐり、米政府はアサド大統領支持派が実行し、1400人を超える死者が出たと主張、プーチン大統領は、アサド政権に対する軍事行動を引き起こすために反体制派が実施したものとしている。
国連安保理で拒否権を持つロシアが軍事介入に反対していることから、オバマ大統領は安保理の承認取得は不可能とみて米議会に承認を要請している。
潘基文国連事務総長は「1日失うごとに罪のない多数の市民の命が奪われている」とし、内戦終結に向けた政治的な解決の必要性を訴えた。
しかし、オバマ大統領は軍事介入に向けた姿勢を崩さず、ベン・ローズ米大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は記者団に対し、オバマ大統領はアサド政権が化学兵器使用に関与したとの強い確信をあらためて強調したと明らかにした。(ロイター)>
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