13886 東京オリンピックと朝日新聞の無念  古森義久

2020年の東京五輪開催の決定はもちろんオールジャパンで大喜びする大朗報です。そんなお祝いの時期に細かな点の提起はふさわしくないかも知れません。
しかし日本ではだれもが東京五輪開催を熱望し、切望してきたとばっかり思ってきたのですが、どうもそうではないということに気づきました。
朝日新聞のここ数日の紙面をみると、どうしてもそんな思いを感じるのです。
もしかすると、安倍政権下での東京五輪開催決定は好ましくない、という思いがあったのか。まさか東京開催は実は無念、残念なのか。そんなことはないと思いたいです。
でもその一方、以下のような記事が決定の直前まで続出していたことも記録に残しておくべきでしょう。
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「汚染水地下へ。地球の裏にも届いたか。アルゼンチンから見れば東京も福島の指呼の間。離れても知る復興の現実。
『7年後はまったく問題ない』と安倍首相。魔法使いか予言者のごとく。それならばまず、福島で言って欲しい」(9月6日夕刊 素粒子)
「汚染水 理解得られず 五輪招致委、会見で答弁困窮 海外メディア『失望した』
東京の最大の売りは『安心・安全』。汚染水漏れ事故が、その主張を根底から揺るがしかねない流れだ」(9月6日朝刊)
「東京は安全とIOC委員に五輪招致委。福島のことはいざ知らず? 東電は安堵。政府に対策費を出してもらい」(9月4日夕刊 素粒子)
「東京都や日本オリンピック委員会は2020年のオリンピック・パラリンピック招致に力を入れているが、汚染水問題が原因で承知に失敗する可能性も考えるべきだ。(汚染水の)緊急課題に本気で取り組んだ国でなければ、オリンピック・パラリンピック開催は理解されないと思う」(9月2日朝刊 声OPINION)
「汚染水対策 五輪招致のためでなく  
国会が汚染水問題で予定していた閉会中の審査を先送りした。審議の紛糾が、東京五輪招致に影響することへの懸念もあったという。政治家の打算含みで福島を利用することがあってはならない。日本がいま最優先で国際社会に果たすべきは、あらゆる手段を尽くしての原発事故を食い止めることである」(9月2日朝刊 社説)
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ちょっとみただけでも、こんな調子の記述に満ち満ちているのです。東京五輪よりも汚染水問題だ、という一貫したメッセージです。
汚染水問題がオリンピック委員会での討議で出たことを歓迎までしています。汚染水は7年後に問題なしと首相が述べると、魔法使いみたいだと、批判する。
やれやれ、まあ安倍政権下では東京五輪開催を決定してほしくない、ということでしょうか。
朝日新聞もそこまでひどくはないのでしょうが、もしそうならば、今回の東京五輪決定には無念な思いをしているかもしれませんね。
杜父魚文庫

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