■軍事行動は当面回避-14年半ばの達成目標
<【ジュネーブ時事】ケリー米国務長官とラブロフ・ロシア外相は14日、ジュネーブ市内のホテルで記者会見し、シリア化学兵器の国際管理・廃棄をめぐる枠組みについて合意したことを明らかにした。
シリアが化学兵器に関する包括的なリストを一週間以内に提出し、査察を全面的に受け入れることを要求。化学兵器禁止機関(OPCW)によって2014年半ばまでに全廃することを目標とした。
両外相は、シリアが化学兵器管理・廃棄に従わなければ、国連憲章第7章に基づいて強制措置を行使することでも合意した。これによってオバマ米大統領が決断した一方的なシリア攻撃は、当面回避された。
米ロの合意は国連安保理決議にまとめられる。ケリー長官は「この枠組み合意が完全に実施されれば、シリア国民だけでなく隣国への化学兵器の脅威も終わらせることができる」と強調した。
米ロ外相はシリア化学兵器処理に関するロシア提案を受け、12日から兵器専門家を交えて協議を開始。1000トン以上と推定されるシリア化学兵器の規模やタイプについて見解を共有し、管理・廃棄計画の期間や検証の方策などを探っていた。
シリアでは8月21日にダマスカス郊外で化学兵器攻撃が発生。オバマ政権はアサド政権が実行したと断定し、対シリア軍事攻撃の準備に入った。これに対しロシアや中国などが一方的な軍事行動に反対していた。
ケリー長官は16日にパリでヘイグ英外相、ファビウス仏外相と会談し、合意内容について説明する。(時事)>
<[ジュネーブ/ベイルート 13日 ロイター]スイスのジュネーブでシリアの化学兵器問題を協議していた米ロ2カ国は13日、シリアの内戦終結に向け国際平和会議の開催を目指すことで合意した。
ただ米国は依然、懐疑的な姿勢を崩しておらず、ケリー国務長官はこれまでシリアのアサド政権に対する軍事行動の可能性を排除していない。
ケリー長官は共同記者会見で「対立が続くシリアに平和と安定をもたらすとの希望を胸に、われわれは互いに協力し、化学兵器に関するこのイニシアチブを開始することにコミットしている」と指摘。シリアの和平交渉の日程が設定されることを望むとしながらも、すべては今後の化学兵器問題の進ちょく状況によるとの考えを示した。
ケリー長官とラブロフ露外相による米ロ外相会談の場には、両国の専門家も同席しており、協議は14日まで継続する見通し。
ケリー長官とラブロフ外相はこの日、国連とアラブ連盟合同のシリア特別代表ブラヒミ氏とも会談。長官と外相は会談後、国連総会が開催される9月28日頃にニューヨークで再度協議を行い、「ジュネーブ2」の開催日程で合意できることを期待していると述べた。
ラブロフ外相は「進展状況を確かめ、シリア側の反応をみることで合意した」とし、「ジュネーブ2」で政治的解決が得られることを望むと述べた。
また国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は、シリアの化学兵器使用疑惑に関する調査団の報告書について、毒ガスが使用されたことを確認するものになるとの見方を示した。
報告書を受け取るまで明らかにできないとしながらも、「非常に確かな報告書となるだろう」とした。
アサド大統領については「人道に対する多くの罪を犯している」と述べた。ただ8月21日の化学兵器攻撃がアサド政権によるものなのか、反政府派が行ったのかについては明らかにしなかった。
一方、化学兵器禁止機関(OPCW)はシリアの外務次官から技術支援に関する要請で連絡を受けたことを明らかにした。
ただアサド大統領は、米国の軍事攻撃の可能性が排除されるまで、化学兵器の受け渡しには応じない構えを見せているほか、専門家は各地に分散されている大量の化学兵器を紛争地帯で除去することは、技術的な大きな問題を伴うとの見方を示している。(ロイター)>
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