14122 石原慎太郎氏が日本を語る   古森義久

石原慎太郎氏のいまの心境だといえましょう。
■【単刀直言】石原慎太郎 日本維新の会共同代表(上)改憲、公明が足手まといに
2020年夏季五輪の東京開催が決まったのは、本当に良かった。
安倍晋三首相はよくやってくれたと思う。東京電力福島第1原発の汚染水問題はブラジルのサンパウロに行ったときにもどこの外国人にも「大丈夫か」と言われるほど関心が高かったが、首相のオーソリティー(権威)でピシャッと切ってくれた。都知事くらいの者が言ってもメディアは納得しなかっただろう。東電の不手際を安倍君が救ってくれたと思う。5月のトルコ訪問時もなかなかうまいリカバリーショットをしてくれた。
今回は宮内庁も協力してくれた。そういう意味では、首相の指導力で総力戦ができたといえるだろう。五輪開催で日本国民全体の強い一体感ができてきたらいいんじゃないですか。
◆「破棄する」で解決
官僚はよく「石原さんは官僚好きじゃないのはよく分かっています」と言うけど、官僚は嫌いじゃなく、軽蔑しているだけだ。「継続性と一貫性が私たちの取りえです」と胸を張ったって、この変化の時代に新しい発想が出てくるわけがない。そういう人間には全然期待も評価もできないね。企業においてはなおさらだ。
ところが、自民党はずっと官僚に依存してきた。そんな自民党にはうんざりしてイヤだとなって(25年の永年在職表彰を機に)国会議員を辞めたんだ。
国政復帰を決断したのは、一つに官僚支配の打破が目的だ。地方自治体が何か新しいことをやろうとしても国の規制が邪魔をする。逆に、官僚は平気で無駄をする。
その象徴が会計制度だ。国の会計制度は時代遅れで話にならない。複式簿記ではなく、いまだ単式簿記だ。会計監査をやるのも会計検査院という役所だ。役人が 役人を調べても、どういう無駄をしたかをまともに指摘できるわけがない。なぜ外部監査を導入しないのか。東京都は発生主義複式簿記に改め、外部監査を入れ た。だから短期間に財政再建ができた。国の会計制度を改める、これは日本維新の会の「一丁目一番地」といえる政策だ。
もうひとつは憲法だ。
戦勝国が敗戦国を統治するために臨時に作った憲法が何一つ直されずにここまで続いた例は歴史の中にない。歴史の中にないものが日本でまかり通っているのは 全くおかしい。ヘーゲルが言っている歴史的レジテマシー(正統性)がないんですよ。何条を直すという次元の話ではない。全部書き直すつもりでやらなければ。首相が「この憲法を破棄する」と言えば、それで終わりなんですよ。
前文なんて助詞の間違いだらけの醜い日本語で恥ずかしい。英文和訳にしても、出来は70点ぐらいのもんだ。国民の権利ばかりうたわれていて、義務については少なく、極めてインバランスですね。国民の権利と義務はフィフティー・フィフティーで盛り込むべきです。
(吉田茂元首相の側近として知られる)白洲次郎氏が言っていたよ。「吉田の決定的な間違いは、サンフランシスコ平和条約を締結したときに、あの憲法を破棄しなかったことだ」と。その通りだと思うよ。
◆どこまでやれるか
安倍君の政権運営はなかなかテキパキしている。ただ、1年前に会った彼と比べると、今は一寸トーンダウンしたな。
昨年の自民党総裁選前に安倍君と食事したんだ。意気軒高としていたから随分、期待した。
このとき、憲法について安倍君は「変えなきゃいけないです」とはっきり言った。「『破棄』って言ってくれよ」と言ったら、「そういう言葉はちょっと激しい」とも言ってはいたが…。
野田佳彦政権が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化した直後でもあったので、尖閣の問題も「鯉口(こいぐち)を切りなさい」とも言った。「鯉口を切る」というのは刀を抜くことではない。昔の武士のように「寄らば切るぞ」と鯉口を切ったらいい。
(10月15日召集予定の)臨時国会の代表質問では、今までになかった質問をやろうと思っています。
尖閣問題については例えば「果たして施政権は及んでいるのか。具体的なものを示す必要があるのではないか」と聞きたいな。それと、みんなが「なるほど!」 ということを提案します。石垣の漁民が、日本人全体が喜ぶと思うよ。これを安倍君がのまなかったら「政府の責任」となるから。
果たして安倍君は憲法改正をどこまでやれるのかね。公明党は必ず足手まといになりますよ。現に、公明党がいることで集団的自衛権の行使容認という課題は先送り、先送り、先送りになっているじゃないか。
だけど、憲法改正という国家の運命を左右する政治イッシュー(課題)が出てきたことで、国民だってバカじゃないから、公明党の去就をちゃんと見ますよ。自 縄自縛で動けなくなったときに、どういう形で公明党が政権からドロップアウトしていくかね…。安倍君は、内閣法制局長官を代えるよりも公明党を(連立相手 から)代えたほうがいいんじゃないの。(つづく)
杜父魚文庫

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