14130 オバマ大統領の落日  古森義久

オバマ大統領の不振について以下の記事を週刊文春に書きました。.
<オバマ大統領にとって、今秋はむごい季節となりそうだ。国内でも国外でも信頼や支持が急落してきたからである。
シリアの化学兵器使用に対する軍事攻撃宣言の右往左往ぶりには、つい最近までオバマ大統領に国防長官として仕えた2人までもが公開の場で辛辣なオバマ批判を表明した。
「アメリカ大統領がここから先は許さないというレッド・ラインを宣言すれば、その誓約の実行にアメリカ自体への信頼がかかる。自分の責任の議会への下請けも間違いだ」(今年2月まで国防長官だったレオン・パネッタ氏)
同氏の前任のロバート・ゲーツ氏も「わずか数日間に(オバマ氏が)調子のよい言葉を次々に述べることは戦略の不在の証拠だ」とし、「議会の反対は 全世界にアメリカのいまの弱さをみせつけた」とも語った。いずれも9月中旬にテキサス州の大学で開かれた討論会での発言だった。
対外面でのオバマ大統領はそれでなくてもリビア内戦への「後ろから導く」というリーダーシップ忌避や、エジプト動乱への政策不在で内外の評判を落としてきた。アメリカの国家機密を暴露してロシアに亡命したCIA元職員エドワード・スノーデン容疑者の言動もオバマ政権の信用を失墜させた。
内政でも、元財務長官のローレンス・サマーズ氏をFRB新議長に起用しようとしたのにあっさりと辞退されてしまった。議会で与党の民主党側を含めて反対議員があまりに多いとみられたからだという。大統領への不信からの造反ということだろう。
米国民一般も8月末以降の世論調査で大統領への不支持54%、支持44%などという反オバマ志向を強めている。「死に体(レームダック)」という評までが出てきた由縁である。
だが大統領の最大の悩みは1期目に全力を注いだ医療保険改革(オバマケア)が法律となり3年半が過ぎてもなお国民の賛成が驚くほど少ないことだろう。来年の新制度実施を目前にして賛成が31%、悪い影響を受けるというのが34%、無意味だという意見が別の調査で52%という状況なのだ。共和党は一 貫してこの法律の破棄を求める。
こうした内憂外患がオバマ大統領の白髪化をさらに進行させているのかもしれない。(週刊文春)>
杜父魚文庫

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