■経済再生と財政健全化は両立可能=安倍首相
<[東京 1日 ロイター]安倍晋三首相は1日夕、臨時閣議後に会見し、2014年4月から予定通り消費税率を8%に引き上げると表明した。
安倍首相は、わが国経済が再び成長への自信を取り戻すと同時に、国の信認を維持して社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡すことがこの内閣に与えられた責任だと指摘。足元の日本経済は、次元の違う3本の矢の効果で回復の兆しを見せているとした上で、「大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることで、経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での結論だ」と増税判断の背景を説明した。
<基礎的財政収支赤字削減に大きな一歩>
首相はまた「海外や市場からの信頼が損なわれれば、日本経済と国民生活に深刻な影響が出る。そのような事態を招くわけにはいかない」とし、「基礎的財政収支の赤字を2015年度に半減し、2020年度に黒字化する目標へ大きな一歩を踏み出す」と語った。
さらに増税しながら経済対策を実施することへの批判については「増税せずに経済再生だけ優先すれば、将来の社会保障安定と財政再建に疑問符がつく。他方で経済対策をせずに増税だけを優先すれば、景気は腰折れしてしまうリスクが極めて高い」と説明した。
<経済政策パッケージは未来への投資>
同時に安倍首相は消費増税に伴う景気の落ち込みを防ぐため、新たな経済政策パッケージを取りまとめたことに触れ、「今般まとめた経済政策パッケージは目先の経済を押し上げるだけの一過性の対策ではない」と説明。「社会保障充実や安定などのためにお願いする負担を緩和しながら、同時に将来にわたり投資を促進し、賃金を上昇させ、雇用を拡大する、まさに未来への投資だ」と語った。
さらに「新たな経済対策は12月上旬に策定する。その規模は5兆円規模とする」ことを明らかにした。対策には低所得者への簡素な給付措置や住宅取得にかかわる給付措置が含まれる。
<法人実効税率下げ、真剣に検討すべき課題>
経済政策の中で、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止を検討するとしていることについては「復興財源の確保が大前提だ」とした上で、「復興特別法人税廃止が賃金上昇につながること踏まえ、12月中に結論を得る」と述べた。さらに「企業側の理解が進み、みなさんの考え方が変化していくという確信が得られていく中で判断していきたい」と説明した。
法人実効税率の引き下げに関しては「与党で速やかに検討を開始してもらうこととした」と述べた上で、「経済の持続的成長に向け、日本企業が国際競争に打ち勝ち、世界から投資を呼び込むため、真剣に検討を進めていかなければならない課題だ。しっかりと与党で議論を進めていただきたい」と意欲を示した。
<10%への引き上げ、判断時期含め適切に決断>
消費増税法では14年4月の消費税率8%への引き上げの後、15年10月に10%に引き上げることが定められている。この引き上げに向けた判断については「引き上げについてはあらためて消費増税法の附則18条にのっとり、経済状況等を総合的に勘案し、判断時期も含めて適切に決断していきたいと考えている」と語った。(ロイター)>
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