14164 トルコが採用を目論む中国の「紅旗9」   古澤襄

トルコが中国の防空システム「“HQ-9”(紅旗9)」 を採用するという観測情報が流れて、米国やNATO諸国に衝撃を与えた。HQ-9は、“FD-2000”として武器展などでも展示されているが、射程距離は350kmで、長距離と近距離に対処できる防空システム。何よりも価格が安価な点が魅力といわれる。
周辺国ではシリアがロシアのS-400ミサイル・システムを採用、イスラエルは近接防空システムのアイアンドームを配備している。本来ならトルコはNATOのレーダーなど現在の防空システムを拡張、強化するべきだが、米国が中東地域で影響力を失い、NATOもトルコの防空システムに関心が薄い。その間隙を中国に突かれた形だ。
シリアとイスラエル情勢の動きに敏感なトルコが、対抗上、安価な中国の防空システムに飛びついた可能性が強い。中東における米国の影響力低下が、招いた帰結といえるのではないか。
中国は2012年に新華社が報じたところによると、2020年までにネットワークをベースとする4つの情報システムを構築し、防空能力の情報化を実現するとしている。攻撃兵器の拡張に狂奔している中国だから、防御兵器システムのHQ-9は、開発途上にあるという見方もある。
それでもパキスタン、イランと並んで中国の影響力が強化されている現実は見逃せない。中東政策で後手に回っているオバマ米政権はどこまで後退するのであろうか。
  
杜父魚文庫

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