14216 米国債危機に日本と中国は非対称の反応   宮崎正弘

■中国はデフォルトを警戒し、米国に警告信号を発信
17日に連邦議会が赤字国債枠上限を改訂しないと、米国はデフォルトに陥る。つまり、わかりやすくいえば、中国と日本から借りている金はチャラになる。世界経済は大混乱に陥り、金融システムが機能停止になる懼れが高い。
中国財務省の朱光耀・副部長は記者会見し、「中美両国は密接な政策交流を維持し、米国債の違約を防止、中国の対米投資の安全を確保すべきである」と述べた。
中国の保有する米国債は1兆2770億ドル(日本は1兆2350億ドル)。ただし、中国は殆どが短期証券で利払い目的に財務運用していることに比べると、日本は機関投資家が長期保有して戦略的政治的意図を含ませているという際立った差違がある。
 
同次官は「このために、私たちは当然、米国の金融面の行き詰まりに注意を払っており、米国への中国投資の安全性を米国が保証することを要求する」と述べた(新華社、8日)。
また債務上限の議論を見守り、米国が「債務の不履行」(デフォルト)を起こさないことを確実にするため現実的で断固たる措置をとる必要があると内政干渉的言辞を続けた。
対して日本はといえば、のほほんと構えており、麻生財務相の記者会見にも、なんらの緊張感が見られない。中国と対照的である。
しかし市場は反応している。日本株はどすんと尻餅をつくように下落し、円は対ドル為替レートを急伸させている。他方で「世界最強通貨」である金(ゴールド)がしずかに高騰している。しばらく市場の注視が必要である。
杜父魚文庫

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