14355 核兵器不使用声明発表 日本が初参加   古澤襄

核兵器は非人道的なものだとしていかなる状況でも使用すべきではないと訴える共同声明が、国連総会の軍縮問題を扱う委員会で発表され、アメリカの核抑止力に頼る安全保障政策上の理由からこれまで参加を見送ってきた日本も、初めて参加しました。
国連総会の軍縮問題を扱う第1委員会では、21日、提案国のニュージーランドを始め、日本を含む125か国が核兵器をいかなる状況でも使用すべきではないとする共同声明を発表しました。
共同声明はまず、「核兵器は過去の使用や実験の経験から制御不能な破壊力と無差別さを持ち、受け入れがたい人道上の影響をもたらすのは明らかだ」として、その非人道性を強調しています。
そして、これまでの国際的な核軍縮への取り組みを踏まえながら、「いかなる状況でも核兵器を2度と使わないことが人類の生存の利益につながる」と核兵器の不使用を訴え、「すべての国は核兵器の使用を防ぎ、拡散を防止して核軍縮を達成する共通の責任を有する」としています。
こうした共同声明は、去年の国連の同じ委員会やことし4月のNPT=核拡散防止条約の会議など過去3回発表されていますが、日本はアメリカのいわゆる「核の傘」に頼る安全保障政策上などの理由から参加を見送ってきました。
しかし、唯一の被爆国でありながら共同声明に参加しないことに内外から批判が高まり、日本政府は今回、「声明全体の趣旨が日本の安全保障政策や核軍縮の取り組みとも整合性が取れる内容になった」として、初めて参加しました。

■岸田外務大臣「国際社会を主導」
岸田外務大臣は、「共同声明全体の趣旨が、わが国の安全保障政策などに整合的な内容に修正されたことを踏まえ、参加することとした。
声明では、核兵器による壊滅的な結末が、人類の生存や環境などに深く影響することが述べられており、唯一の戦争被爆国であるわが国は、こうした考えを支持する。わが国としては、核兵器を使用することの悲惨さを、国と世代を超えて語り継いでいくことなどを通じて、『核兵器のない世界』の実現に向けて、引き続き国際社会の取り組みを主導していく考えだ」とする談話を発表しました。
■日本政府の思惑・背景は
「核兵器はいかなる状況でも使用すべきではない」とする共同声明に、日本は初めて参加しました。
核兵器の廃絶に向けた共同声明は、国連や核拡散防止に関する国際会議などで、去年の5月以来、これまで3回、提出されていますが、日本は、アメリカの核抑止力に頼る日本の安全保障政策と矛盾するなどとして、参加することを見送ってきました。
しかし、唯一の戦争被爆国である日本が参加しないことに、被爆地の広島や長崎をはじめ、各国のNGOなどから反発の声が上がっていました。
広島県選出の岸田外務大臣は就任以来、一貫して、核軍縮の推進に強い意欲を示していて、今回の声明についても、早い時期から担当者に対し、参加に向けた調整を指示し、みずからも声明の取りまとめ役であるニュージーランドの外相らに直接、日本の立場を説明するなど働きかけを行ってきました。
その結果、声明では、「いかなる状況でも使用すべきではない」という文言は残されたものの、「核兵器の廃絶に向けたあらゆる手法や努力を支持する」などという文言が新たに盛り込まれることになりました。
こうしたことから、政府は、声明全体の趣旨を精査した結果、アメリカのいわゆる「核の傘」のもとにある日本の立場を縛るものではなく、日本の安全保障政策と整合性が取れると判断し、参加することになりました。
来年4月には、広島市で、軍縮や核の不拡散に関する国際会議が開かれることになっており、今後、日本に対し、核軍縮のけん引役として役割を期待する声が一層高まることが予想されます。(NHK)>
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