14433 米大統領、2010年から独首相の盗聴把握=独ビルト紙   古澤襄

<[ベルリン 27日 ロイター]米情報機関がメルケル独首相の電話を盗聴していたとの疑惑が出ている問題で、ドイツのビルト紙は27日、オバマ米大統領が2010年から同首相に対する盗聴の事実を把握していたと報じた。
メルケル首相の盗聴に関わっていたとされる米国家安全保障局(NSA)の職員の話として伝えた。
同紙によると、オバマ大統領は2010年にNSAのアレキサンダー長官から直接、盗聴について報告を受けたが、「大統領は活動中止を命じず、活動の継続を容認した」という。
同紙は「このNSA職員によると、オバマ大統領はメルケル首相を信頼しておらず、首相に関するあらゆる情報を求めていた」としている。
ロイターは同紙の報道内容について確認できていない。
NSAは、オバマ大統領が2010年に盗聴の事実を把握していたことを否定。ただ、大統領が盗聴について知っていたかについてはコメントを控えた。
米独両政府はコメントを拒否した。
また、27日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、今年夏に始まったオバマ政権の政策見直しの中でこうした活動が明らかになったことを受け、NSAはメルケル首相を対象とする監視プログラムを停止した。
同紙は複数の米当局者の話として、プログラムは他にも35人の世界の指導者を対象としており、そのうち何人かは今でも監視を受けていると伝えた。
米国家安全保障会議(NSC)のケイトリン・ヘイデン報道官は、WSJの報道を受けて声明を発表し、オバマ大統領が米国の監視機能に関する検証を命じたと表明。「ホワイトハウスが主導するこの検証を通じ、米国市民や同盟国の安全保障への懸念や、全ての人々が共有するプライバシーへの懸念にわれわれが適切に説明責任を果たすため、情報収集手法を見直す」と述べた。詳細について自身は話す立場にないと付け加えた。
他の複数のドイツのメディアによると、オバマ大統領は23日にメルケル首相から電話を受けた際、盗聴について謝罪。盗聴の事実を知っていたらやめさせていたと述べていた。
NSAのバニー・バインズ報道官は電子メールによる声明の中で、「アレキサンダー(長官)はメルケル独首相を対象としたとされる外国諜報活動について、2010年にオバマ大統領と話し合ったことはなく、これまでにもメルケル首相を対象としたとされる活動について話し合ったことはない」と指摘。「これ以外のニュース報道は事実ではない」と主張した。
ホワイトハウスのケイトリン・ヘイデン報道官はコメントを拒否した上で、全ての国家が収集するような国外情報を米国は収集するとの方針を強調した。
<イラク戦争への支持拒否がきっかけか>
ビルト紙によると、NSAはオバマ大統領の主導により、メルケル首相のテキストメッセージや通話の内容を含む監視活動を強化。同首相が今年夏に手に入れた盗聴防止機能付きとみられる新たなモバイル機器への盗聴も開始していた。
同紙によると、米ブッシュ前政権によるイラク戦争への支持をドイツのシュレーダー前首相が拒否したことを受け、NSAは同前首相に対する盗聴を開始。2005年にメルケル現首相が就任してからも盗聴を続けていた。

在ドイツ米大使館に勤務する18人のNSA職員は、得た情報をNSA本部ではなく、ホワイトハウスに直接報告していたが、独首相府の首相執務室にある暗号化された固定電話のみ盗聴できなかったという。
同紙は、米国のスパイが与えられた職務以上のことを行っているとの印象をホワイトハウスが作り出していることに、一部のNSA当局者がいら立っていると伝えた。(ロイター)>
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