14457 新疆ウイグルに捜査の重点   古澤襄

■天安門車両突入事件
北京市の天安門前で28日に車が突入して炎上し、5人が死亡した事件で、公安当局は分離独立運動の本拠地で、中国の支配に対する抗議行動がしばしば起きている新疆ウイグル自治区に捜査の重点を置いている。
公安当局は、同自治区出身者が事件に関与したかどうか捜査しており、政府のテロ問題顧問は自爆テロのようだとの見方を明らかにした。北京市内の2カ所のホテルの従業員によれば、公安当局は29日、事件の容疑者として新疆出身者9人についての情報を求める通知を市内のホテルに送付した。

通知ではまた、同自治区のナンバープレートの車5台についても情報提供を求めている。新疆ウイグル自治区の報道官は、同自治区の公安当局も同事件の捜査を行っていると述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
新疆ウイグル自治区は少数民族ウイグル人の故郷であり、砂漠と石油、天然ガスの豊富な産出地として知られる。数十年間にわたって反中国のキャンペーンが散発的に、時には暴力を伴って繰り返されてきている。ホテルに送られた通知では、公安当局が特定した9人のうち8人の名前はウイグル人のものとみられる。
テロ問題に関する政府顧問で、中国現代国際関係研究院(CICIR)の安全戦略研究所の李偉所長は、今回の事件は自爆テロのようだと指摘、事前に計画されたことが明らかなことから、ウイグルの独立派組織である「東トルキスタン・イスラム運動」の仕業でではないかの見方を示した。
李所長はまた、「彼らは、かつては新疆の標的をだけを攻撃していたが、今では他の国際テロ・グループと同様に、首都での標的を狙うようになっている」と指摘した。
その一方で李所長は、爆発物は使用されなかったとみられ、このために死傷者が限定的となったと指摘、グループの能力の限界を示していると述べた。さらに、「彼らが天安門に到達したからといって、彼らの能力を過大視すべきではない」と話した。
中国外務省の華春瑩副報道局長は29日の記者会見で、「新疆では暴力行為やテロが発生していることを認めるが、どの国の政府も安全や治安維持のためにこうした事件を取り締まるものだ」と述べた。
今回の事件は、ウイグル人の独立派が仕掛けたものであることが確認されれば、中国の首都の政治の中心地を狙った独立派による過去に例のない大胆な攻撃になる。今後は、中国全土で標的となる恐れのあるものについてテロ防止策が講じられる可能性が大きい。
新疆ウイグル自治区の各所では警戒態勢が強化されているもようだ。同自治区の区都ウルムチに向かう道路の検問所1カ所では、警察がドライバーの免許証や車をチェックしており、車が2、3キロにわたって渋滞をしている。北京は、11月に開かれる共産党中央委員会第3回総会(3中総会)を前に、すでに警備は厳重となっている。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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