【北京=矢板明夫】9日から開かれる中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第3回総会(3中総会)の直前に、山西省党委庁舎前で起きた連続爆発事件は、今後の政局に影響を与える可能性をはらんでいる。
北京の天安門前で車両突入事件が起きたのはわずか9日前。各地で警戒態勢を強化している最中に、党施設のすぐ前で爆発が起きるという前代未聞の事件が発生、習近平政権はメンツを失う結果となった。
習政権の政策路線を本格的に決める3中総会に向けて、党内人事や、政策の主導権をめぐる争いが激しさを増す中、事件の責任を問う動きが出てきそうだ。
現在、山西省のトップを務める袁純清・党委書記は、胡錦濤前国家主席がかつて率いた党の下部組織、共産主義青年団出身者で、李克強首相の大学時代からの友人でもある。一方、同省ナンバー2(党委副書記)の李小鵬省長は李鵬元首相を父親に持ち、習近平国家主席と同じく太子党グループに属している。
袁純清、李小鵬両氏の関係の難しさは共産党関係者の間でよく知られており、今後、責任の押し付け合いが激化し、余波が政権に波及する可能性もある。
石炭の産地である山西省は貧富の格差が最も大きい地域の一つとして知られる。炭鉱掘削をめぐる土地収用や環境汚染をめぐり、地方政府と住民のトラブルも多い。発破用の火薬などが比較的容易に入手できるとも指摘されている。
山西省政府はちょうど5日に常務会議を開催し、経済問題などについて検討したばかりだった。また、先月下旬から、党中央規律検査委員会の調査チームが同省を視察しており、今回の事件はこうした機会を狙って計画的に仕組まれた可能性もある。(産経)
<中国内陸部、山西省の共産党の建物の近くで何者かが複数の爆弾を爆発させたとみられる事件は、現場から金属球のほかに殺傷力が強まるくぎも見つかったことなどから、地元の党や政府に対する強い恨みを背景にした計画的な犯行という見方が出ています。
この事件は6日、山西省の中心都市、太原にある中国共産党山西省委員会の建物の近くで相次いで爆発が起き、1人が死亡し8人がけがをしたもので、捜査当局は何者かが複数の爆弾を作り、共産党の建物を狙って爆発させたものとみて捜査しています。
中国メディアによりますと、現場では小さな金属球や電子回路のほかにくぎも散らばっていたということで、殺傷力を高めるために爆弾に含まれたとみられます。
さらに、爆発音が8回にもわたって聞こえたことから、地元の党や政府に対する強い恨みを持つ人物による計画的な犯行という見方が出ています。
習近平指導部としては、北京の天安門広場近くで起きた車の炎上事件を受けて、各地で警備態勢を強化していたさなかだっただけに衝撃を受けているものとみられ、今週9日から始まる共産党の重要会議を控え、一層警戒を強める見通しです。
一方、天安門広場近くの事件のときとは異なり、当局はインターネット上に掲載された現場の写真や動画の多くを削除しておらず、中国メディアに対する強い規制も行っていないもようです。
こうした対応の違いが出ているのは、天安門の事件では抑圧的な政策に対するウイグル族の反発という、中国指導部がとりわけ神経をとがらせる問題が絡んだのに対し、今回の爆発では民族政策を巡る問題は浮上していないためとみられます。(NHK)>
杜父魚文庫
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