■漢族をうらむ新彊ウィグル、チベットなどを対象、外国は二義的
11月の「三中全会」は「改革」「改革の深化」が謳われ、お題目を唱えてはみたものの、実質の中味がゼロに近いお粗末さだった。
唯一例外の新規決定が、米国の組織を真似る国家安全局(NSC)を設置するという情報重視の姿勢だった。
このため六月に訪米した習近平はオバマ大統領に、NSC設立へのアドバイスを要請したという。米国の情報収集、分析、対応を学ぶためか、と思われた。
ところが、その後具体的な詰めはなく、実現への工程がまったく進んでいない模様で、観測筋は「あれは外国の諜報対策ではなく、国内の治安対策、とりわけ漢族をうらむチベット、ウィグルなどの不穏な動きを抑え込むのが目的だ」と分析している。
もとより中国がNCSを組織する計画は胡錦涛時代からあったが、軍のつよい反対で実現しなかった。既存組織を網羅し、その上部組織となるわけだから軍にとっては面白くない。しかもトップは誰になるか?
はやくも下馬評は習近平の外交ブレーンで、「中国のキッシンジャー」と言われる王こ寧(元副丹大学教授、現在政治局員で習近平の外遊には必ず随行する)がトップに付くだろうという観測だ(王に関しては拙著『中国を動かす百人』、双葉社を参照)。
この初代局長は王滬寧(おうこねい、ワンフーニン)が最有力とニューヨークタイムズが予測記事を掲げたのは11月13日号だった。
杜父魚文庫
14677 中国版NSC(国家安全局)は国内治安対策が主任務 宮崎正弘

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