<東京都の猪瀬直樹知事(67)が、公職選挙法違反容疑で幹部6人が逮捕された医療法人徳洲会グループから、昨年12月の都知事選前に5000万円を受け取っていたことを22日、明らかにした。今年9月、東京地検特捜部が強制捜査に入った後、返却したという。選挙費用ではなく、「個人的な借用」だと強調、責任回避に終始したが、説明は二転三転。猪瀬氏が書いたとする借用書の存在を、徳洲会側が「知らない」と話していることも分かった。
都庁の会見場は通常の60席に24席分を増やした記者席がほぼ満席となり、質疑は1時間10分に及んだ。普段は上から目線の「猪瀬節」も、この日は額に汗を浮かべ、「たまたま」を繰り返すなど、しどろもどろ。答えは二転三転した。猪瀬氏が最も返答に窮したのは、5000万円を直接受け取った人物と場所、目的に関しての質問だった。
「徳田毅議員ですか」。約5秒の沈黙後「ご本人にお確かめください」と明言を避けた。親族が公選法違反の疑いで逮捕された徳田氏から現金を手渡されたとすれば説明責任があると再度、追及されると「分かりました。徳田毅議員です」と渋々認めた。
「場所は議員会館か」との問いにも「どこだったのか思い出しているところ。誰とどこでという認識は薄い」。しかし、猪瀬氏は知事選前に「他の団体からは借りていない」と説明。「1度きりのケースを覚えていないのは不自然」と指摘されると「議員会館だったかもしれない」と、回答を変えた。議員会館の事務所内で、5000万円の受け渡しが行われていたことを認めた。
受け取った目的は「個人的な借り入れで、選挙資金ではない」と強調。しかし、会見2時間前の囲み取材では「もし選挙費用に使った場合は(記載が必要な選挙運動費用収支報告書に)書くつもりだった」と、選挙費用に使う意思があったことを明言していた。猪瀬氏の同報告書に、徳洲会に関する記載はない。つじつま合わせなのか、2時間の間に説明は変わっていた。
猪瀬氏によると、都知事選の1カ月前の昨年11月6日、紹介人らとともに湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)を訪れ、療養している徳田虎雄・前徳洲会理事長(75)と面会。猪瀬氏はその場で「石原(慎太郎)の後継です」とあいさつ。虎雄氏から「頑張ってくれ」とメッセージを受け、その後、現金の受け渡しに至ったという。(日刊スポーツ)>
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14693 猪瀬都知事、苦しい釈明…進退問題へ 古澤襄

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