北朝鮮で失脚説が伝えられた国防委員会副委員長の張成沢氏は、妻の金敬姫氏の権力中枢での影響力を背景に地位を固めてきた。
張氏は旧ソ連留学を経験したエリートで、北朝鮮の最高学府、金日成総合大学時代に敬姫氏と出会う。義父の金日成主席は当初、2人の恋愛と結婚に猛反対していたとされる。
張氏夫妻は、金正日総書記の長男で金正恩第1書記の異母兄に当たる金正男(ジョンナム)氏の世話をしていた時期もあるとされる。現在、権力中枢と距離を置き海外で暮らす正男氏に配慮していたとも伝えられる。
張氏は、対北融和政策をとった金大中(キムデジュン)政権下の韓国を南北閣僚級会談などで訪問したことがあり、民主化と経済発展を果たした南(韓国)の現状を直接、目の当たりにしている。また、中国への訪問経験も豊富で、中国の改革開放政策とその成果を見ている。
こうした外部との接触を重ねた張氏は、“閉鎖国家”である北朝鮮が抱える問題点や矛盾を十分に理解しているとみられる。
訪韓歴もある張氏を韓国では“知韓派”とみなし、行き詰まる南北関係の改善に向けたカギを握る人物として期待感も強い。(産経・名村隆寛)
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