14814 中国の防空識別圏での意図とは 古森義久

中国の自国製の航空母艦についての報告です。この空母の建造は最近の防空識別圏とも関連があるというのです。
■中国の次の一手は空軍力の増強国産空母の建造で防空識別圏を思いのままに?
  
米中間の軍事力を比較する際、空母はこれまで力の差が最も顕著に現れる領域だった。米国海軍だけが種々の空母を保有し、日本を含む東アジアの平和や安定を保ってきたのである。中国が保有する空母はゼロだった。
だが中国は、この領域での米国の圧倒的な優位に対し、確固たる態度で挑戦してきたのである。
■米軍との空軍力格差に味わわされた屈辱
中国が東シナ海の防空識別圏設定を宣言すると、米国はただちにその存在を否定し、B52戦略爆撃機2機を中国への通告なしに圏内で飛行させた。中国は事前の威勢のよい宣言にもかかわらず、対抗や抗議の行動は取らなかった。その背景には、中国の空軍力が米軍に比べ、あまりにも劣っているという現実が あると言える。
今回のこうした米中両国間の軍事展開は、1996年の事態を想起させる。96年に台湾の総統選挙で独立志向の李登輝氏が優位に立つと、中国は台湾近海へのミサイル発射演習を断行した。台湾の選挙民を威嚇して、李登輝氏への投票数を減らそうという意図だった。
だが米国の当時のクリントン政権はただちに台湾近海に米海軍の航空母艦2隻を急派して、中国側を威圧するという行動に出た。
米軍の巨大な空母2隻の登場の前に中国軍はそれまでのミサイル発射演習をぴたりと止めてしまった。後に、中国は当時の米軍のこうした動きに対抗する手段を何も持たず、威圧に屈するという屈辱的な思いを強くしたことを明かすに至った。
今回も、米軍が飛ばしたのは非常に旧式で丸腰のB52爆撃機である。だが、中国側は対抗する構えを見せなかった。B52というのはそもそももう 40年も前のベトナム戦争の際によく使われた爆撃機である。それでも中国側は黙って引き下がったのである。今後、空軍力のパワーアップを大幅に図らなけれ ば、この防空識別圏の機能も維持できないということだろう。
今回、米側が明らかにした中国の自国製航空母艦2隻の建造に、そうした空軍力の増強に寄与させる意図があることは明らかだと言えよう。(終わり)
杜父魚文庫

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