14867 袋叩きでも内閣支持率50%の奇跡   杉浦正章

安倍は自信を持って経済改革に努めよ
内閣支持率を長年報じてきた者から見ると、安倍内閣があれだけ激しい特
定秘密保護法案反対の嵐の中を突っ切っても、まだ50%前後の高支持率
を維持していることに驚く。
そしてこれを分析すれば、国民は、あたかも特定秘密保護法案反対が正義
であるかのような朝日や左傾化民放やNHKの報道ぶりに惑わされていな
かった事が分かる。
おそらくこれら一部メディアの編集者たちもプロなら、「これほど叩いた
のに全く利かない」と嘆いているに違いない。首相・安倍晋三は自信を
持ってよい。今後は経済にまい進して、失地回復に努めればよい。
秘密保護法成立後の内閣支持率は、読売が9ポイント下落の55%、NH
K10ポイント下がって50%、共同が10・3ポイント下落の47・6
%と50%前後を維持している。そこで今回の秘密保護法案をめぐる報道
ぶりを見ると、読売と産経をのぞいてほぼ朝日ペースに引っ張られたとい
ってよい。
筆者は10月28日に「米国の情報を守るために日本国民を罪に問う法案
」などと書いた朝日の“風評源化”に警鐘を鳴らした。予想通りこれがき
っかけとなって新聞やテレビに“虚報とねつ造”の連鎖が発生した。
「飲み屋で秘密を語ると逮捕される」と信頼すべき全国紙が報道するわけ
だから、デタラメな報道もいいところだ。50年報道に携わってきたが、
不偏不党を唱えるマスコミが、これほどの一方的な偏向報道をした例に初
めて遭遇した。
芸術家や著作家、 思想家、学者など、主に芸術や学問の分野で文化の創
造的な面に携わる人を文化人と言うが、この文化人ほどいいかげんな種族
はいないことも判明した。その著しい例が法案反対を叫んだ二人のノーベ
ル賞受賞者だ。物理学賞の名古屋大特別教授・益川敏英と、化学賞の筑波
大名誉教授・白川英樹だ。
「特定秘密保護法案に反対する学者の会」に参加して気勢を上げたが、そ
の主張は報道に引っ張られた内容であり、法案の中身など全く理解してい
ないことが分かる。一般人は「ノーベル賞受賞者が言っているのだから」
とつい信じてしまうが、学者はその研究部門でエキスパートであっても、
外交・安保で卓越した見解で国をリード出来るかと言えば逆だ。
家庭の主婦の方がよほど、情報通で判断力がある。学者に正確な政治判断
を求めるのは、八百屋に行って鮟鱇(あんこう)をくれというようなもの
なのである。
昔から、あこがれてきた大女優・吉永小百合も、愛すべき映画監督・山田
洋次にも幻滅した。「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」なるもの
を発足させた。
その声明は「心ならずも戦争に対する翼賛を押し付けられた映画界の先達
の反省に立ち、日本映画界は戦後の歩みを開始しました」とした上で、
「『知る権利』を奪い、『表現の自由』を脅かすことになりかねないこの
法案は、とても容認することはできません」と反対を表明した。
これも朝日のリードが利いている。朝日の掌で踊らされているのであっ
て、その規(のり)を越えた発想は皆無だ。まるで魚屋が大根を売るよう
なものであり、ある特定のイメージを持ってこれからは作品に接しなけれ
ばならない。
これら文化人と称する種族に共通しているのは、大局が読めていないこと
であろう。中国が連日のように領海侵犯を繰り返し、他国の領土に防空識
別圏を線引きする。北朝鮮は側近を切って、いよいよ角刈りのあんちゃん
が独裁体制を敷く。いつ核ミサイルをとばすか分からないお兄さんだ。
いわば何をするか分からないストーカーが家の周りをうろついているの
に、吉永小百合は玄関の鍵を閉めないのであろうか。極東情勢が国家安全
保障会議(NSC)を必要とし、その核となるのが秘密保護法なのであ
る。断言しておくが、法律ができたからといって、警察国家や暗黒社会な
ど絶対に到来しない。  
読売がその社説で「国会審議の中で戦前、思想犯の弾圧に用いられた治安
維持法になぞらえた批判まで出たのには驚く。戦後の民主主義国家として
の歩みや政治体制、報道姿勢の変化を無視した暴論と言うほかなかろう」
と書いているが、まさに正論だ。
法案成立は朝日が読売に完敗したことを意味するが、その朝日は治安維持
法と言わんばかりの報道を続けた。声欄では「治安維持法」を復活させる
な」と言った愚論を連日のように掲載し、成立後もゼネラルエディター・
杉浦信之の「知る権利支える報道続けます」という主張で、戦う姿勢を鮮
明にしている。
その中で「治安維持法を含め、この種の法律は拡大解釈を常としてきた」
とまるで治安維持法であるかの如きとらえ方をしている。こちらの杉浦は
勉強がまるで足りない。治安維持法は戦前の国体維持のための法律であ
り、秘密保護法は、スパイなどから特定秘密を守り、国防を確保するため
の法律だ。目的に天と地の差があるのだ。
 
こうして食うか食われるかの保革の戦いの末、日本にもようやく米英など
他の先進国並みの機密保全法制が整った。安倍の判断は安保条約を改定し
た祖父・岸信介の判断と同様に、国家百年の計をにらんだものであって、
全く正しい。
マスコミに煽られた衆愚は、やがて秘密保護法の恩恵を知るときが来るで
あろう。朝日はかつて猛反対した安保とPKO法を今は是認しているよう
に、10年後には秘密保護法案を礼賛しているかもしれない。
安倍は支持率の大幅下落が避けられたことを奇貨として、国民の望むデフ
レ脱却など経済改革にまい進すればよいだけだ。(頂門の一針)
杜父魚文庫

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