14906 防衛大綱と中期防、わずか3年で改定   古澤襄

■背景に膨らむ「中朝脅威」
<政府は17日午前の国家安全保障会議(NSC)と閣議で、外交・安全保障政策の包括的指針となる国家安全保障戦略を初めて策定し、新たな防衛計画の大綱と来年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)を決定した。民主党政権が平成22年に決定した大綱と中期防をわずか3年で改定した背景には、中国や北朝鮮の軍拡路線によりアジア太平洋地域の安全保障環境がこの間、急速に悪化したことがある。安倍晋三首相はこれに毅然(きぜん)と対処するには、新たな防衛力の整備が不可欠と判断した。
中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で高圧的な威嚇行為を繰り返し、海上自衛隊護衛艦に対して射撃管制用レーダーを照射したり、潜水艦が日本の接続水域を潜航して侵入したりした。今月5日も中国艦艇が南シナ海で米海軍イージス巡洋艦の進路をふさごうとして緊急回避行動を取らせるなど、不測の事態を招きかねない挑発行為を続けている。装備面でも国産空母の建造や次世代ステルス戦闘機の開発を進め、海空戦力を増強している。
これに対し日本の防衛力整備は遅れ、昨年12月に中国機が領空侵犯した際、自衛隊はレーダーで捕捉できなかった。海上保安庁巡視船の通報で空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)したが、すでに中国機は飛び去っており、レーダー網の脆弱(ぜいじゃく)さをさらした。新たな大綱と中期防は対中シフトをより進め、警戒監視能力の強化を目指す内容だ。
一方、核・ミサイル開発に走る北朝鮮は張(チャン)成沢(ソンテク)前国防副委員長を処刑し、金(キム)正恩(ジョンウン)第1書記の独裁体制をさらに強めている。従来の核実験やミサイル発射に加え、予測不能な軍事行動の危険性も指摘される。
首相は「精神力だけでは眼前の厳しい現実に立ち向かうことはできない」として防衛力整備の必要性を強調してきた。大綱と中期防の改定はこれを前進させるものだが、日米同盟の強化に欠かせない集団的自衛権の行使容認は、連立政権を組む公明党が慎重姿勢を崩さず、実現は遅れている。現実に即した防衛力が求められる中、安倍政権が乗り越えるべき課題は多く残されている。(産経)>
■戦車、本州から消える…700両から300両に
<政府は、17日に決定した「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」で、本州への戦車の配備をやめて、北海道と九州に集約させる方針を示した。 現在約700両ある戦車は約300両に減らす。大規模な戦闘を想定した冷戦型の陸自の態勢から脱却し、効率的な配備を重視したものだ。
戦車は民主党政権が定めた防衛大綱で、約400両を目標としたが、さらに削減を進めることとなる。代わりに戦車と同様に砲を持ちながら、高速移動できる機動戦闘車99両を機動師団・旅団に新たに配備する。同戦闘車は8輪タイヤを使うため、一般道を走行でき、新型輸送機「C2」で各地に展開できる高い機動性が利点だ。
防衛省は陸自の効率化を進め、離島奪還作戦を担う水陸機動団や新型輸送機MV22オスプレイを抱えるヘリコプター団に人員や予算を集約したい考えだ。(読売)>
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