14956 五輪出場へ正念場の安藤美姫に降って湧いた韓国報道 古沢襄

■動揺を誘うつもり?
<歳末を迎えソチ五輪の代表選考が熱を帯びてきた。女子アイスホッケーやカーリング女子が名乗りを上げる中、注目は、やはりフィギュアスケート。21日からの全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)で男女3枠ずつを争う。ほぼ当確とされる浅田真央と前回女王、韓国のキム・ヨナの銀盤の争いが、今回も五輪の華となりそうだが、国内代表選考で、もう1人の主役となる安藤美姫をめぐって、韓国紙が奇妙な議論を仕掛けている。
今春、女児を出産し3季ぶりにリンクに戻った安藤だが、当初はプライベート面への関心が先行し、専門家筋からは長すぎたブランク明けの復帰に厳しい目がむけられていた。しかし過去2度世界女王に輝いた実績と練習により、国際大会で試合感覚を取り戻し、五輪出場に必要な最低技術点を獲得、予選大会を勝ち上がり全日本出場権を得た。18日に報道陣のインタビューに応じた際は、リラックスし落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
その安藤を、12日付の中央日報(電子版)が取り上げた。韓国メディアがフィギュアスケートを扱うということは当然、キム・ヨナも登場する。
舞台は7日までザグレブで行われた国際大会、ゴールデンスピン。安藤は今季自己最高となる176・82点を出してキム・ヨナに次ぐ2位に入り、復調を確認できた。日本メディアは、同じ日にグランプリファイナルを制した浅田とキム・ヨナを並べるなど再び2人の戦いが始まったことを印象づけたが、中央日報は違った。

同紙によると、授賞式で、安藤は韓国語で「ありがとうございます」と話したという。そして「安藤は普段から韓国に対し強い関心を持っていることが知られている。過去には韓国を訪れソウル・明洞で観光する姿が日本のテレビ番組で放映されたりもした」などと報じた。さらに「安藤は続けてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ『大会後。ヨナ優勝おめでとう。あなたとともに競技をできて良かった。あなたの未来に幸運を』というメッセージとともにキム・ヨナと撮った写真を上げた。キム・ヨナに向けた心あふれる激励と国籍を超越した温かい気持ちが感じられた」と持ち上げている。
ここまでは、いい。
続けて同紙は「これに対する韓国と日本のファンの反応は明確に分かれた」と安藤に対する日韓の温度差を、ことさら強調して報じたのだ。
それによると「韓国のファンは『安藤美姫も知ってみれば大物だ』『センスが最高だ』など肯定的な反応が主流だった」と好意的な見方を示したという。これに対し日本の一部ネットユーザーらは「『自国民を無視した』『話にならない行動をした』とし激昂した反応を見せた」などと記している。

他愛のない論評だが、安藤にとって最後の五輪代表選考を前にした大事な時期に、なぜ、動揺を誘うような、こんな記事を掲載するのか。ネットの一部ユーザーの声を掘り起こして、何を狙おうというのか。
「『もう跳べないだろう』って言われたし、8割くらいの人がそう思っていたはず。でも諦めなければ、限界はあっても無理ということはない。今は胸を張ってそう言える」。18日のインタビューで穏やかに安藤は語った。復帰に際しては子育てとの両立を誓い、リンクから戻れば疲れた体でミルクを作り、離乳食を娘の口に運ぶ。夜泣きに悩まされた日々も乗り越えて、安藤の今がある。「最後の五輪」と決め、出場をかけた大一番を前に、日本のメディアが敬意をもって彼女に相対する理由でもある。
日韓の国境や国民性を際立たせ報じるのは前回大会にもみられたが、すでに前哨戦が始まったということだろうか。(産経)>
杜父魚文庫

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