14993 緊迫の南スーダン「緊急・人道性」で迅速対応   古澤襄

■原則見直す時期
<政府が23日、南スーダンのPKOに参加している韓国軍への銃弾提供を決めたのは「緊急の必要性・人道性」があると認めたからだ。治安情勢が悪化する南スーダンでは、自己防護や避難民を守るため、部隊が武器使用を迫られる可能性が増している。情勢不安定な地域でのPKOには一定の武装力が不可欠という国際的常識に沿った判断といえる。また、安倍晋三政権にとっては、「積極的平和主義」を国際社会にアピールする狙いもありそうだ。
「そもそもPKO参加国は自前で必要な装備を携行するのが原則で、こんな要請は想定していなかった」
防衛省幹部が話すように、政府にとって今回の要請は想定外だった。PKO協力法が審議された平成3年の国会答弁などでも「弾薬提供は想定しておらず、要請されても提供しない」との見解を示してきた。
武器輸出を事実上禁じた武器輸出三原則などに抵触するとの判断や、自衛隊の海外活動への抵抗感が、いま以上に強かったことも背景にあったとみられる。
ただ、今回は人命にもかかわる緊急事態。PKO協力法の規定そのものには提供物資の制約はないことから、政府は「緊急事態における例外的措置」として三原則の例外とし、事実上、過去の見解を改めた。現地情勢を踏まえれば妥当な判断といえる
関係者によると、韓国側は提供を公表しないように要請してきたというが、官邸主導で提供と官房長官談話による公開を決めた。迅速な対応は、国家安全保障会議(NSC)の存在意義を示す機会にもなった。
ただ、国民にとって分かりにくい説明であることは否めない。武器輸出三原則は、これまでも弾道ミサイル防衛システムの日米共同開発など、個別の案件ごとに例外を設ける対応を重ねており、「その都度、例外化するやり方は限界に来ている」と指摘されてきた。
今回の対応も、そうした過去の対応の枠内を出ていないともいえる。安全保障法制の抜本見直しを進める安倍政権として、分かりやすい原則を示すことが必要となりそうだ。>
■野党「軽率、拙速だ」 政府追及も温度差
<野党は24日、安倍政権が南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で展開する韓国軍に銃弾1万発を提供したことに関し、政府の責任を追及する姿勢を強めた。
民主党の北沢俊美元防衛相は取材に「国家安全保障会議(NSC)ができたからといって軽率で拙速すぎる」と指摘。同時に「戦後日本で初のケースなので、慎重に対応すべきだった。持ち回り閣議ではなく、臨時閣議などを開いて本当に緊急性があるか議論すべきだった」と強調した。
社民党の又市征治幹事長は「緊急性が高かったにせよ、国の原則にかかわる大問題だ。民主主義の根底を揺るがす非常識な行動で強く非難する」と述べた。
日本維新の会国会議員団の中堅議員は「武器輸出のなし崩しという感じは否めない。ただ相手国は韓国であり、両国関係の改善に寄与するのならば意味はあるだろう」と指摘した。(産経)>
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