15109 NYタイムズで日本たたけ   古沢襄

■中国富豪が買収意欲「あすから交渉」
中国の実業家で慈善活動家としても知られる陳光標氏(45)が、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の買収に意欲を示し、5日から社主側と交渉に入るとぶち上げた。
陳氏は、その派手な言動がたびたび「売名行為」とひんしゅくを買う一方で、NYTに日本批判の広告を出すなどの愛国主義的な行動でも有名。買収はNYTを通じ中国の主張を世界に広めるのが狙いとみられる。NYT側は買収を完全否定しているが、実現すれば日本にとっても無視できない問題となりそうだ。
「ニューヨーク・タイムズの世界的な影響力は非常に大きい」
米中の複数のメディアの報道によると、陳氏は昨年12月30日に開かれたイベントで報道陣に買収意欲を表明した。5日にNYT側の代表者に会うと説明した上で、「1人では難しいが、香港の他の大富豪たちにも話を持ちかけた。彼らも私と協力して買収したがっている」と明かした。
NYTの時価総額は約24億ドル(約2500億円)に上るが、すでに約10億ドル(約1050億円)の資金調達にメドを付けたという。
陳氏は米CNNテレビに「はったりなんかじゃない。私はこの2年間、買収実現を夢に見てきたんだ」と語った。
これに対し、NYT側は「5日の会合の話は聞いていないし、噂にはコメントしない」と、完全否定した。
■貧困から成り上がり
陳氏は江蘇省に生まれ、兄と妹が餓死するという壮絶な貧困生活を送ったとされる。10歳から水や氷菓子を売って一家を支えながら南京大学を卒業。地元で産業廃棄物処理事業を立ち上げ大成功。総資産は8億1000万ドルに上り、昨年9月の中国富豪ランキングでトップ400に入った。
慈善活動家としては、毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい。2008年の四川大地震では被災者に大金を配り、11年の東日本大震災でも私設救援隊を率いて被災地入りした。
一方、昨年1月には大気汚染が深刻な北京で「陳光標は良い人だ」と書かれた新鮮な空気入りの缶詰を販売して失笑された。巨額な過去の寄付についても、地元メディアで「水増し疑惑」が報じられている。
■愛国主義者
陳氏のもう一つの顔が愛国主義者だ。NYTへの意見広告で一昨年は「尖閣諸島は中国領」と主張し、昨年も「安倍晋三首相は靖国神社参拝をやめろ」と訴えた。また、反日デモで日本車を壊された人に中国車を贈呈したこともある。
ネットメディアの台頭で新聞業界が苦境に陥るなか、昨年は米紙ワシントン・ポストがネット企業のアマゾンのジェフ・ベゾスCEO(49)によって買収され、NYT傘下のボストン・グローブ紙も大リーグのオーナーに身売りした。ただ、この際、NYTの社主であるザルツバーガー家は本体の身売りを否定している。
買収防衛策としてオーナー家が一定の議決権を確保していることもあり、米メディアは陳氏による買収の実現性を懐疑的に伝えている。それでも、陳氏はロイター通信に「誠意を持って誠実に振る舞えば、オーナー家の考えは変わる」と語り、意欲満々だ。
リベラル派のNYTは、もともと日本に批判的な記事や社説を掲載してきた。陳氏が資本参加するような事態となれば、反日の“急先鋒”と化す懸念が拭えない。(産経)>
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