東京都の猪瀬直樹前知事の辞職に伴う東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)は、細川護熙元首相が出馬を決断したことで構図が一変する可能性が出てきた。これまでは、知名度抜群の舛添要一元厚生労働相が圧倒的に優位と見られてきたが、細川氏に「脱原発」を提唱する小泉純一郎元首相がついた場合には、「細川-小泉」の元首相連合が台風の目となる可能性もありそうだ。
■細川氏浮上のカギ握る小泉氏
細川氏は「脱原発」論を主軸に選挙戦を展開すると見られる。自民党の石破茂幹事長は「原発政策は一義的には国政の課題だ」と指摘しているが、東京都内に原発があるわけでもなく、本来は都知事選の争点にはなりえないテーマだ。
ただ、「脱原発」で軌を一にする小泉氏が細川氏を本格的に支援した場合には状況が変わる可能性がある。小泉氏は平成17年衆院選で「郵政民営化」という単一の争点を作りだし、当時の自民党は大勝した。現在の小泉氏の発信力が当時ほどではないにせよ、大きな影響は与えそうだ。
細川氏は昭和13年1月生まれの75歳。14日の誕生日には76歳となる。2020年東京五輪開催時に都知事であるとすれば82歳だ。年齢差別をするつもりはないが、激務の知事職をこなせるかという問題もある。
そもそも小泉氏が首相かつ自民党総裁だった平成15年、自民党は衆院選比例代表に関し「原則として公認時に満73歳未満」との候補者選定基準を正式決定。小泉氏は「首相や総裁の経験者」といった例外を設けることなく、宮沢喜一氏、中曽根康弘氏の首相経験者2人に自発的な引退を促し、党の若返りを図った経緯がある。
小泉氏は当時、両氏の進退について「ご本人が判断すべきものだが、引き際があるんじゃないか」と記者団に語っていた。同年に行われた衆院選の街頭演説でも「世代交代しなければならない。いつまでも年寄りが政界で頑張ってちゃいかん」と述べている。
小泉氏は信念を曲げずにブレないことで定評がある。ただ、「73歳定年制」を厳格に適用した過去があるのに細川氏を例外扱いするとすれば、説明が求められることにもなりそうだ。
■舛添氏優位に死角も?
舛添氏は「無所属で出る」としており、党派色を薄めて戦いたい考えのようだ。各種世論調査で自民党の政党支持率が高いとは言え、過去の都知事選で石原慎太郎氏(日本維新の会共同代表)や猪瀬直樹氏らは党派色を薄めた戦い方で大勝した。舛添氏にとっても、「無所属」を強調することで無党派層の票を惹きつけつつ、自民、公明両党が裏で実質的に支援するというのが理想的な戦い方だろう。
ただ、自民党は一枚岩ではない。「党本部も都連も一糸乱れず選挙戦を戦う」との方針では一致しているものの、舛添氏は自民党を批判して離党して、党から除名された過去があり、党内にアレルギーは強い。都連が舛添氏を推薦するのも「党内で舛添氏を積極的に推す人は少ないが、他に候補者が見当たらない」(都連幹部)というのが本音で、不戦敗を防ぐためにしぶしぶ支援するというのが実情のようだ。
それでも、舛添氏が優位である状況は揺るがないとみられる。公明党は都知事選の対応を決めていないものの、舛添氏は同党と良好な関係を保ち続けている。
公明党は昨年7月の参院選(比例代表)では東京都内で68万票を集めた。都議選でも、都全体ではコンスタントに60~70万票を集めているとされる。自民都連幹部からは早くも「当選ラインは200万票」との見通しが出ているが、公明党が細川氏を支援するという想定しづらい状況にならない限りは、舛添氏は安定した戦いを進めるだろう。
とはいえ、元日弁連会長の宇都宮健児氏=共産、社民両党推薦=が出馬を取りやめ、「脱原発統一候補」として細川氏を支援することになれば、状況は一変する可能性もありそうだ。前回都知事選(24年12月)における宇都宮氏の得票数は96万票あったからだ。
小泉氏は信念を曲げずにブレないことで定評がある。ただ、「73歳定年制」を厳格に適用した過去があるのに細川氏を例外扱いするとすれば、説明が求められることにもなりそうだ。
■舛添氏優位に死角も?
舛添氏は「無所属で出る」としており、党派色を薄めて戦いたい考えのようだ。各種世論調査で自民党の政党支持率が高いとは言え、過去の都知事選で石原慎太郎氏(日本維新の会共同代表)や猪瀬直樹氏らは党派色を薄めた戦い方で大勝した。舛添氏にとっても、「無所属」を強調することで無党派層の票を惹きつけつつ、自民、公明両党が裏で実質的に支援するというのが理想的な戦い方だろう。
ただ、自民党は一枚岩ではない。「党本部も都連も一糸乱れず選挙戦を戦う」との方針では一致しているものの、舛添氏は自民党を批判して離党して、党から除名された過去があり、党内にアレルギーは強い。都連が舛添氏を推薦するのも「党内で舛添氏を積極的に推す人は少ないが、他に候補者が見当たらない」(都連幹部)というのが本音で、不戦敗を防ぐためにしぶしぶ支援するというのが実情のようだ。
それでも、舛添氏が優位である状況は揺るがないとみられる。公明党は都知事選の対応を決めていないものの、舛添氏は同党と良好な関係を保ち続けている。公明党は昨年7月の参院選(比例代表)では東京都内で68万票を集めた。都議選でも、都全体ではコンスタントに60~70万票を集めているとされる。自民都連幹部からは早くも「当選ラインは200万票」との見通しが出ているが、公明党が細川氏を支援するという想定しづらい状況にならない限りは、舛添氏は安定した戦いを進めるだろう。
とはいえ、元日弁連会長の宇都宮健児氏=共産、社民両党推薦=が出馬を取りやめ、「脱原発統一候補」として細川氏を支援することになれば、状況は一変する可能性もありそうだ。前回都知事選(24年12月)における宇都宮氏の得票数は96万票あったからだ。(産経)>
杜父魚文庫
15177 細川-小泉連合なら都知事選一変? 古沢襄

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