15205 東インド洋にも注目が必要   宮崎正弘

■東シナ海、南シナ海ばかりに目がいくが、東インド洋にも注目が必要だ。中国の海洋覇権、資源運搬ルートでインドと鮮明に対立
全世界の貿易の80%がインド洋を通過する。世界で取引される原油の40%はホルムズ海峡を通過するが、中国の全輸入石油の90%が、いまのところ、このインド洋ルートへ依拠している。
アンゴラ、スーダンからそれぞれ30万~50万バーレルを輸入している。
中国は一日500万バーレルの石油を輸入しているが、2030年には日量1300万バーレルが必要となる。
陸づたいのパイプラインは現在のところ44万バーレルがミャンマーから雲南省へ。60万バーレルがシベリアから黒竜江省へ、そして日量は不明だが、トルクメニスタン、カザフスタンから新彊ウィグル自治区へ相当量のガスが運ばれている。
東インド洋の戦略的重要性をはやくから認識している中国はアンダマン海、ベンガル湾、そして南インド洋スリランカに将来の海軍拠点構築を企図している。げんにスリランカでは港湾を建設中である。
くわえてパキスタンからパイプラインを新彊へ、あるいはバングラ経由で雲南へ運ぶ陸上輸送ルートも計画中である。
東インド洋の地政学的重要性は日増しに高まっているが、インド洋を遊弋したロシア艦隊は消え去り、米国はピボットを言ったものの、インド洋への進出強化方向にはなく、豪が米軍の代替の役目を検討しているともいう(アジアタイムズ、1月14日)。
オバマのピボットはあちこちでほころびが目立つ。
日本での議論は東シナ海、南シナ海、マラッカ海峡あたりまでの関心でしかなく、インド洋の安全保障となると殆ど無関心である。
この点で、25日からの安倍訪印では、どこまでの議論があるだろうか。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました