15263 安倍政権、移設シナリオに狂い   古沢襄

■日米関係に影響も-名護市長選
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し政府は、反対派が再選された19日の名護市長選の結果に関係なく推進する方針。だが、移設反対論に弾みがつくのは避けられない。
安倍政権は、沖縄振興費の拡充など移設実現の環境整備に全力を挙げ、昨年末には仲井真弘多知事から辺野古埋め立て申請の承認を取り付けたが、地元の民意でシナリオは大きく狂い、移設の行方は不透明となった。

市街地の中心に位置し、「世界一危険」と言われる普天間について、固定化回避は最重要課題。一方、東シナ海で中国が影響力を拡大させる中、在沖縄米軍基地の抑止力の重要性は増している。こうした要請に対する「解」が辺野古移設で、政府は「これ以外の選択肢がない」との立場だ。
昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝に米国が「失望」を表明、日米間にはすれ違いが生じた。同盟関係を固め直す観点からも、政権には辺野古移設を計画通り進めたい事情がある。
これに対し、再選された稲嶺進氏は「市長の許可や同意がなければ埋め立ては前に進まない」として、市長が持つ権限を利用し、代替施設の建設を阻む構えだ。
例えば、国が漁港を埋め立てるには、漁港漁場整備法で市との事前協議が義務付けられている。航空機の燃料施設を設置するにも消防法に基づき市長の許可が必要となるなど、普天間の代替施設建設への影響は多岐にわたる。
こうした法令に関し、政府は「よほど問題がない限り、止めることはできない」(防衛省幹部)としており、手続きに違法性がなければ、市長に「拒否権」はないとの見解だ。
ただ、実際に市長が許可を出さなければ、政府が違法確認訴訟を起こして争うことも想定され、そうした場合は移設スケジュールが長引くのは必至だ。
政府は年度内に地質調査などに入りたい意向だが、抗議行動の激化も懸念材料だ。過去にも反対派住民が小型船などで旧那覇防衛施設局による海域調査の準備作業を妨害した例がある。
沖縄では、任期満了に伴う名護市議選が9月に控え、12月には仲井真知事も任期満了を迎える。こうした選挙でも反対派の勢いが続けば、辺野古移設が暗礁に乗り上げることは確実だ。(時事)>
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